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(2008年11月…508-517) 中段は20字紹介。価格は本体価格(税別)。 もっと古い記録   よみもののきろくTOPへ  もっと新しい記録
2008年11月の総評
今月の読了冊数は10です。
内訳は短編集1、エッセイ・一般書2、ライトノベル7。
コンプ計画中の著者の読了数は森博嗣1、有栖川有栖1、結城光流1、時雨沢恵一1です。
多めに見えますが、結局ライトノベル率高すぎ。

2008年11月の菜の花的ベストは…

 「庭園鉄道趣味 鉄道に乗れる庭」      森 博嗣 (評定4.0)

「庭園鉄道趣味」は、森博嗣のエッセイ。
森家の庭園鉄道「欠伸軽便鉄道弁天ヶ丘線」レポートです。
出版社が異なりますが、実質的には
「ミニチュア庭園鉄道」(全3巻)の続編に当たります。
オールカラーの写真と文章から見えてくる
「作者が力いっぱい楽しんでいる姿」が
読者をも楽しくさせる一冊です。


以下、高評価順(同評価の場合は読了日順)に簡単に作品紹介します。

 「英国庭園の謎」              有栖川有栖(評点3.5)
 「"文学少女"と死にたがりの道化」      野村美月 (評点3.5)

「英国庭園の謎」は、有栖川有栖の国名シリーズ短編集。
火村&作家・アリスの絶妙コンビの活躍です。
喜国雅彦氏の解説(文庫版)も、とても面白いです。

「"文学少女"と死にたがりの道化」は、
「このライトノベルがすごい!2009」で1位を獲得した
「文学少女シリーズ」の第1巻。物語を「食べちゃう」遠子先輩と、
元・天才美少女作家の男子高校生・井上心葉のミステリ・ライトノベルです。
この巻は、太宰治の「人間失格」をなぞらえた展開。


 「レンタルマギカ 竜と魔法使い」      三田 誠 (評点3.0)
 「少年陰陽師 愁いの波に揺れ惑え」     結城光流 (評点3.0)
 「メグとセロンIII  ウレリックスの憂鬱」  時雨沢恵一(評点3.0)
 「デュアン・サークII 11」         深沢美潮 (評点3.0)
 「レンタルマギカ 魔法使いの宿命!」    三田 誠 (評点3.0)

「レンタルマギカ 竜と魔法使い」は三田誠の
オカルト系ライトノベルシリーズ第4巻、長編。
この後もレギュラーメンバー(?)になる新キャラたちが登場。
「妖精眼」と「竜」がキーワードです。

「少年陰陽師 愁いの波に揺れ惑え」は結城光流のライトノベルで、
少年陰陽師シリーズ第22巻。「玉依編」第2弾です。
昌浩と彰子、ふたりそれぞれの心の傷が明確になってきます。

「メグとセロンIII」は時雨沢恵一のライトノベル作品第3巻。
「リリアとトレイズ」シリーズのスピンオフ作品です。
スケールが大きくてシリアスなストーリーになりがちな
「アリソン」や「リリトレ」と違って、
平和で、明るく、より身近な「学園もの」です。

「デュアン・サークII 11」は、深沢美潮のライトノベルシリーズ。
副題は、「導くもの、導かざるもの(上)」。
RPG的異世界冒険ファンタジーです。
闇魔からデュアンを救うべく、動き出す人々を描きます。
今回は、女の子たちの複雑な恋心とその悩みに焦点。

「レンタルマギカ 魔法使いの宿命!」は三田誠の
オカルト系ライトノベルシリーズ第5巻。
アストラル業務日誌の短編集です。全4編収録。


 「時載りリンネ!1 はじまりの本」     清野 静 (評点2.5)

「時載りリンネ!1」は著者デビュー作のライトノベル。
第十一回スニーカー大賞の奨励賞受賞作の加筆修正版です。
人とは違う「時載り」という種族の少女・リンネが、
大冒険をしてみたい!と言い出して始まる物語です。
とにかくにぎやかで明るい作風です。


 「団地が死んでいく」            大山眞人 (評点2.0)

「団地が死んでいく」は団地(集合住宅)での孤独死予防を訴える
レポート的エッセイ。基本的な主張は、ご近所づきあいの復活です。
「団地」の歴史や問題点を知るには、類書も少なく、
なかなか良い本だと思います。


以上、今月の読書の俯瞰でした。







508. 「庭園鉄道趣味 鉄道に乗れる庭」     森 博嗣
2008.11.02 エッセイ 320P 2800円 2008年7月発行 講談社 ★★★★
森家庭園鉄道・欠伸軽便鉄道レポート第4弾


【100字紹介】
 趣味の庭園鉄道建設と車両工作のための資金稼ぎに、
 小説を書き続ける森博嗣。本書は著者が心を傾ける
 欠伸軽便鉄道弁天ヶ丘線の四季折々の風景と、
 進化し続ける庭園鉄道工作を、
 オールカラーの写真と文章で紹介する。
             
森家の庭園鉄道「欠伸軽便鉄道弁天ヶ丘線」レポート。
タイトルからいっても、内容からいっても、
既刊「ミニチュア庭園鉄道」3巻の続編。
ただし、レイアウトどころか出版社まで変更されています。

参考)これまでの既刊
 「ミニチュア庭園鉄道 欠伸軽便鉄道弁天ヶ丘線の昼下がり」
 「ミニチュア庭園鉄道2 欠伸軽便鉄道弁天ヶ丘線の大躍進」
 「ミニチュア庭園鉄道3 欠伸軽便鉄道弁天ヶ丘線の野望」  

何か諸事情があった模様ですが、そこは深く気にせずに、と。
本のサイズも変わりました。ノベルスのサイズでしょうか。
ちょっと重たいです。でも、写真は見やすくなりました。
それから、中身のデザインがずいぶん変わりました。
かなり凝っているのでは。
こういうデザインは初めて見ましたが、なかなか良いなと思いました。
意外にすっきりしていて読みやすいです。
配色も、目に優しい色合いでさりげなく、写真ともケンカをしていません。
欠伸軽便鉄道が、ガーデニングに力を入れているせいもあってか、
写真は年々、メルヘン風になってきている気がするのですが、
そのイメージも壊さず、かと言って助長しすぎもせず、
素敵な本に仕上がっていると感じました。

中身の方は、そのままミニチュア庭園鉄道の続編。
以前よりもますます、工作がパワーアップしている気がします。
ずいぶん、同じような趣味の人たちとの交流が多くなったのも
大きな変化ですね。きっと励起されているのだろうなあ、と思います。
菜の花も院生時代は、学会の年会や研究会に参加して、
他の人たちと研究の話を見たり聞いたり話したりして帰ってくると
「よし、もっと頑張って実験を進めよう!」と励起されたものです。
そういうものですよね。他者の刺激というのは良いものですね。

これまでの既刊3作と同様、一番の見所はやはり、
「作者が力いっぱい楽しんでいる姿」でしょうか。
専門用語が多くて、書いてあること自体は、
菜の花には分からないことが沢山あります。
でも何かに打ち込んで楽しんでいる姿というのは、
見ている方もとても楽しくなります。
そして、「自分も…!」という気持ちに…って、
それはまさに上述の「他者との交流」と同じなのですね。
本やWebサイトというのは凄いですね。
こうしてそれにアクセスした多くの人たちに、
時を選ばずにアピールし、励起エネルギーを与えてくれるのですね。


テーマ : 庭園鉄道
語り口 : レポート的エッセイ
ジャンル : エッセイ
対 象 : 一般〜軽度マニア向け
雰囲気 : たのしい
ブックデザイン : 坂野公一
本文データ制作 : 講談社文芸局DTPルーム

文章・描写 : ★★★+
展開・結末 : ★★★★★
簡 潔 性 : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★
読 後 感 : ★★★★

総合評価 : ★★★★
よみもののきろくTOP 森博嗣の著作リスト
509. 「レンタルマギカ 竜と魔法使い」     三田 誠
2008.11.02 ライトノベル 319P 552円 2005年12月発行 角川書店
(スニーカー文庫)
★★★★★
いつきは禁忌の疑いをかけられる。第4巻。


【100字紹介】
 全てを視て、視たモノすべてを喚ぶ「妖精眼」。
 強すぎるいつきの力に<協会>は禁忌の力の疑いをかけ、
 監視役に穂波と同門のフィンを派遣する。
 その頃、封印されていた最強の魔法生物が覚醒を始める。
 シリーズ第4巻


オカルト系ライトノベル作品の第4巻。
前巻は短編集でしたが、今度は長編で。
2巻でも「最強の敵!」という触れ込みでユーダイクスさんが
乗り込んできたわけですが、今度は更に強そうなんですけど!
しかも、堂々と宣戦布告はしてこないのです。
いや、むしろ悪気なんてかけらも無いかもしれない敵です。
しかも厄介なことに、複数ルートからやってきて…、
それぞれ敵じゃないかもしれないのに、
気付いたら両方と戦う羽目に!?という、不運な展開。
それもこれも、「妖精眼(グラムサイト)」のせい、
という説明がついているのですけれども…、
あー、事件を呼んじゃう探偵みたいですね。

新キャラも登場してきました。
味方も、敵か味方かよく分からないのも。

味方だー、とはっきりしているのは、
「アストラル」契約社員の隻蓮さん。
強いです。かなりの勢いで強いです。
年の功ってやつかもしれません。
話し方が素敵です。
いつの時代の、どこの人ですか!?みたいな。
また旅に出る、とか言っていますが、
是非残ってレギュラーキャラになって頂きたいですね。

敵か味方かよく分からないキャラは…、まあ実際に読んでお確かめあれ。

「アストラル」の創設メンバーの話もちらっと出てきました。
何と穂波は、元々「アストラル」の創設メンバーの関係者だったのですね。
その人は、まだ死んだとは書いていなくてただ、
連絡が取れない、ということになっていますので、
いつかきっとそのうち、登場してくるのでしょう。
何だか凄いのが出てきそうな予感です。

しかし、今回は本当によく撃退できました。
かなり無理が…。こうして少年誌のように、
どんどん敵が強くなっていったらどんな恐ろしいことに。
というか、4巻にしてもうこんなに強くて、
これからどうなってしまうのでしょう。
微妙に先行きが不安です。


菜の花の一押しキャラ…伊庭いつき 「強く、おなりなさい」(フィン・クルーダ)
主人公 : 伊庭 いつき
語り口 : 3人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : オカルト
結 末 : 一件落着
イラスト : pako
デザイン : 中デザイン事務所

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
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510. 「少年陰陽師 愁いの波に揺れ惑え」     結城 光流
2008.11.05 ライトノベル 236P 476円 2008年6月発行 角川ビーンズ文庫 ★★★★★
安倍晴明の孫昌浩の活躍!シリーズ第22巻


【100字紹介】
 時は平安。都は止まない雨と、頻発する地震に不安に満ちていた。
 天勅により、皇女・脩子は伊勢へ下ることとなる。
 安倍晴明の末の孫で、14歳の半人前陰陽師・昌浩は
 現れた黄金の龍を倒そうとするが…玉依編第2弾。


シリーズ第22巻です。「玉依編」の第2巻。

前巻で天勅です!という伊勢のお使いが来たわけですが、
そこから実際は殆ど進んでいませんね…。
地震が増えたのと、黄金の龍が出て、その正体が分かったのと、
あとは「昌浩、やばそうじゃん!」と「彰子、やばそうじゃん!」が
より明確になったということくらいでありましょうか。

比較的平和な会話エピソードが幾つかあります。
天后&にーちゃんずの会話、
お姫&ざっきーず&勾陣&嵬の会話がたのしげ。
あとは昌浩&とっしー&長兄の会話は
「よかったー、誤解がひとつ解けた」と、ほっとした人も多いのでは。
成親、さすが!と改めてうなずく人も全国に沢山いらしたに違いありません。

今作で特に目をひいたのは…、あとがき?(え、そこ?)
いや、長いです!何と大増量14Pです!
そんな「変わったあとがき志向」の方ではなかったはずでは…!?
と思いつつ、人気があるのだとか、あとがきが。
ノリは、ブログとかそんな感じかも。
担当者さん交代の話など、ちょっとした裏話的要素もあります。
そういうファンサービス、ということで…。

さて、次巻はいよいよ、伊勢へ下り始めるのでしょうか。
どうする、どうなる昌浩!?


菜の花の一押しキャラ…安倍 成親 「さすが参議の娘婿。誤魔化してるはずなのにひとつも嘘がなかったのは見事だ」 (もっくん)
主人公 : 安倍 昌浩
語り口 : 3人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 歴史オカルト
結 末 : 次巻に続く
イラスト : あさぎ桜
デザイン : micro fish

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
結城光流の著作リスト よみもののきろくTOP
511. 「メグとセロンIII ウレリックスの憂鬱」     時雨沢 恵一
2008.11.08 ライトノベル 220P 490円 2008年7月発行 メディアワークス
電撃文庫
★★★★★
「リリアとトレイズ」スピンオフ作品第3巻


【100字紹介】
 クールなセロン、正義感あふれる天然系のメグ、
 熱血漢少年ラリー、さばけたナタリア、美形長髪青年ニック、
 カメラを手放さない部長ジェニーの新生新聞部6人による、
 恋あり友情ありのドタバタ学園物語シリーズ第3巻


「リリアとトレイズ」シリーズのスピンオフ作品第3巻。
時間的には「リリアとトレイズ」の第1作と同じで、
シリーズ内で比べると…、第2巻の翌日になります。
1・2巻では、演劇部の合宿の傍ら、旧校舎の地下室探検をしていましたが、
今度は同じく合宿の傍ら、ひょんなことから「新聞部」として
「捜査依頼」を引き受けます。

完全学園もので、スケール的には「アリソン」や
「リリトレ」とは比べられないくらい、こじんまりと。
更に、1・2巻よりもますます事件は縮小し、
巻数も僅か1冊で完結するというミニ・エピソード。
事件自体は、いかにもその辺りにありふれたものですが、
話の筋自体で読ませるのではなく、
読みどころは、6人の個性的なキャラたちの動きでしょうか。
確かに、このキャラたちならでは、という感じです。

それにしても、ラリーがいいやつです。
もう、めちゃくちゃいいやつです。
ラストの方の、セロンへの心の声(!)はもう、
涙なくしては読めない!?(←そんなことはない。)

スケールが大きくてシリアスなストーリーになりがちな
「アリソン」や「リリトレ」と違って、
平和で、明るく、より身近な「学園もの」です。


菜の花の一押しキャラ…ラリー・ヘップバーン 「首尾はどうだった? "何もない"なんて言ったら、頭から食べ殺す」
(ジェニー・ジョーンンズ)
主人公 : セロン・マクスウェル
語り口 : 3人称
ジャンル : 異世界ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 学園もの
結 末 : ハッピーエンド、続く
イラスト : 黒星 紅白

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
よみもののきろくTOP 時雨沢恵一の著作リスト
512. 「デュアン・サークII 11 導くもの、導かざるもの(上)」     深沢 美潮
2008.11.09 ライトノベル 258P 530円 2008年7月発行 メディアワークス
(電撃文庫)
★★★★★
闇魔からデュアンを救うべく、動き出す人々


【100字紹介】
 心身に巣食う闇魔に誰も傷つけさせないため飛び出したデュアンは、
 クレイ・ジュダらと共に氷雪の森に向かう。
 一方、闇魔を追い出す方法を探る者、
 デュアンを追いかける者…
 デュアンと世界を守るため、人々が動き出す


デュアン・サークの第2部であるデュアン・サークIIの第11巻。
いつも通りの上下巻ですが、上巻なのに前巻からの続きという感じ。

主人公でファイターのデュアン・サークは、今回もLv.9でスタート。
というか、いきなり昏倒状態なのでレベルも上がりませんね。
最初から主要キャラたちは3手に別れた状態で始まります。
前巻のラストの通りです。
デュアン、クレイ・ジュダ、ランド。
アニエス、オルバ、ズーニョ(とキアル)。
サヴァラン、ルルフェ、チェック、ルイーザ。
後者は、今作冒頭で合流して、また組み分けして2手に分かれます。
今回もそこそこ複雑な動きです。
著者はあとがきで、同時に動くことは、
自分の視点が映画のカメラのようで面白い、ということを
書いていらっしゃいますが…いやいや、今回だけとは思えないですが!
IIに入ってから、凄ーく多いですよね、そういう展開。
まあ、飽きにくくていいかもしれないのですけれども。


前回の中心は、デュアンの内面の戦いでしたが、
今回は、女の子たちの複雑な恋心とその悩みに焦点、かも。
それにしてもアニエスは成長しましたね。
こんなに精神的にも立派になって…うるうる。
最初からくっきりはっきりの人でしたけれども、
それが他の人に対しても素敵になってきました。
サガンのことも乗り越えられましたしね。
こうして一歩一歩、階段をのぼるようにして
大人になっていくのだなあ、という感じ。
いえ、まだまだお子様!?なのですけれどもね。
こういう成長部分の描き方がとても巧みに感じます。

ああ、あと見所!?と言えば、
「御老体ズ(←いやいやいやっ)」の活躍も忘れてはいけません!
多分、60歳過ぎのお二方のタッグだと思うのですけれども。

「それに、そんじょそこらの若造に負けはせん。
 そうじゃろう、なぁ、サザビー殿」
「ふふふ、たしかに。金目銀目殿、
 わたしたちの足手まといにならぬよう、お気をつけください」

…ですからねー。頑張れおじーちゃんず。
年寄りの冷や水なんて言わせるな〜、ということで。

それにしてもこれ、「最終章」と銘打っていますが、
本当にあと1冊で終われるのでありましょうか。どきどき。


菜の花の一押しキャラ…アニエス・R・リンク 「ねぇ、ルルフェ。そこを離れないで!!女の子でしょ!?  勝手に誤解して逃げないでよ」(アニエス・R・リンク)
主人公 : デュアン・サーク
語り口 : 3人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : RPG系ファンタジー
結 末 : めちゃくちゃ途中!
イラスト : 戸部 淑
デザイン : 鎌部 善彦

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
よみもののきろくTOP
513. 「英国庭園の謎」     有栖川 有栖
2008.11.11 短編集 242P 571円 1997年6月講談社ノベルス
2000年6月発行
講談社文庫 ★★★+
火村&作家・アリスの、国名シリーズ短編集

国名シリーズの短編集です。
いつも通りの火村&作家・アリスの絶妙(微妙!?)コンビが、
事件を解決に導きます。

文庫版解説は喜国雅彦氏。これがまた面白い。
文章自体も楽しいですし、内容もなかなか。
この解説を読んでから再読すると、更に楽しめるかも。


●「雨天決行」
 デビュー作「雨天決行」から2年、
 現在売り出し中の女性エッセイスト白石七恵が、
 「赦してあげて」という言葉を残して公園の四阿で死亡した。
 前夜に食事をした友人は電話口で彼女が「雨天決行よ」と
 言っているように見えたと証言する。
  
 <感想>
 雨がひとつのポイントになる作品。
 「うてんけっこう」は、なかなかうまく連想を誘導しているなあ、
 という感じです。更に発音に関してもマニアックなことが。
 確かにこの被害者は、エッセイストでなくてはならなかったでしょうね。
 設定に納得。いかにもパズル的ミステリで、期待の幕開けです。

 評定:★★★+


●「竜胆紅一の疑惑」
 編集長から、作家・竜胆紅一の悩みを火村助教授に相談するための
 つなぎをして欲しいと頼まれた有栖。火村を伴って作家宅を訪問した。
 彼は、家族から命を狙われていると考えているらしい。

 <感想>
 いや…作家も大変ですね。
 そういう犯行動機もありですか!?というような。
  
  評定:★★★★★
  


●「三つの日付」
 ある日、森下刑事に「3年前の手帳を持ってきて」と呼び出された有栖。
 どうやら、事件のアリバイについて、関係しているらしい。
 3年前のあの日、一体何が起きたのか?

 <感想>
 3年前の記憶。いきなり思い出せと言われても…。
 しかし徐々に記憶が蘇ってくる描写が、結構リアル。
 確かに確かに。
 ふとしたことがきっかけで思い出すことってありますよね。
 しかし、こんなことってあるでしょうか。偶然過ぎ?
 最後のオチがなかなか。

  評定:★★★★★


●「完璧な遺書」
 殺すつもりなんてなかったというのに。
 愛していた忍を殺してしまった「俺」は、
 何とかして罪を逃れようと、自殺を偽装することにした。
 完璧な遺書を用意した…つもりだったのだが。

 <感想>
 いわゆる倒叙式です。犯人視点というやつで。
 頑張って遺書を用意するのですが、
 結局火村先生が登場してしまいますからね。
 誰が考えても先は見えています。
 見えていますが、火村先生がどう崩してくるかが読みどころ、でしょうか。
 しかし、犯人側から見ると、火村先生って嫌なやつー(笑)。
 今回は有栖がお休みで。ところでお手紙のマナーって、
 菜の花、知りませんでした。ちょっと古風な感じ。

  評定:★★★★★


●「ジャバウォッキー」
 ある日かかってきた電話は、言語の混乱した「ジャバウォッキー」からのもの。
 以前に彼が起こした傷害事件に、火村とアリスが関わっていた。
 謎かけのような予告のような、単なるいたずらのような、
 謎の電話をもとに、火村とアリスが出した結論とは…。

 <感想>
 訳の分からない犯人ですが、純粋に面白いです。
 とりあえず、誰も傷つかなくて済んだのが一番よかったですね。

  評定:★★★★


●「英国庭園の謎」
 英国趣味の元社長が、自身の邸宅で殺害された。
 その日、自慢の英国式庭園では被害者が作った暗号を元に、
 「宝探しゲーム」が催され、
 幾人かの関係者が参加していた。さて、犯人は誰?

 <感想>
 オーソドックスなフーダニットです。
 さすが短編、余分な部分は全部切り落として、
 それでもちゃんと本格ミステリです。
 ついでに暗号談義に庭園談義と、なかなか素敵な無駄知識がー。
 
  評定:★★★★★


菜の花の一押しキャラ…火村 英夫 「ゲリラみたいなことをさせて悪かった」       「どういたしまして。仕事をおおせつかって喜んでる」 「犬がいたら犬に頼んだんだけどな」         (火村英夫&有栖川有栖)
主人公 : 有栖川 有栖
語り口 : 1人称
ジャンル : 本格ミステリ
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 関西系本格ミステリ
カバーデザイン : 辰巳四郎

文章・描写 : ★★★+
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★+
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★+
よみもののきろくTOP 有栖川有栖の著作リスト
514. 「団地が死んでいく」     大山 眞人
2008.11.21 一般書 198P 720円 2008年4月発行 平凡社新書 ★★★★★
団地での孤独死問題の現状と「結」の再構築


【100字紹介】
 高度成長期に全国でつくられた巨大団地は40年を経た今、
 建物は老朽化し、住民は老いて、街はさびれつつある。
 団地での孤独死が深刻な問題になっている現状をレポートし、
 「結」の再構築による団地再生を主張する。

タイトルから「団地問題」と分かりますが、
本書の主眼は「団地での孤独死予防」です。
執筆の動機は、著者の住む団地で2件の孤独死が起こったこと。
著者が発見したわけではないですが、その後の片づけで
現場の室内に入った著者は、染み付いた死臭に驚き、
そして自分の将来に対しても不安を抱いたということです。

団地(この場合は、縦に積まれた集合住宅を指すらしい。
菜の花の育った地域で「団地」と言えば、
一戸建てが集中して建っている住宅地であって、
そこには集合住宅というものは一切存在しないものだったので、
何の説明もなく「団地」という呼称を使う時点で少々混乱。
これは普通のこと?)は、建設当初、
若い夫婦とこどもを中心とした同じ年代の人々が移り住み、
活気あふれる場所であったものの、時と共に子どもは独立し、
夫婦は老いて片方が欠けて独居になるケースも増え、
更にエレベータも設置されない古い建物の場合、
高齢者は階段をおりるのも億劫でこもりがち、
街は活気を失い、店も減り、
生活用品の買い物にも遠くまでいかなくてはならない、
その上建て替えされれば、家賃が上がって再入居出来なかったり、
長らく共に生きてきた「ご近所さん」と再び「ご近所さん」になれず、
不慣れな生活を強いられたり。
まあ、そういう現状を書いています。

第一章「団地が無人になる日」は、
取材に訪れた話を感情を交えつつ語ります。
第二章「建て替えられた団地と建て替えを拒否した団地」で、
2つの団地のケースを紹介。
第三章「日本に団地はなぜ必要だったのか」では団地の歴史を、
第四章「死なない団地を造るには」で古きよき時代をそれぞれ記述。
第五章「団地からの復讐」はひたすら孤独死を語り、
第六章「孤独死から住民を守れ!」
第七章「団地住民の孤独死予防策を提案する」は、
現在の取り組みなどについての紹介です。


第二、三、四章あたりは比較的まとまりよく説明がなされる部分ですが、
その中にもそれ以外にも、行きつ戻りつで同じ主張が幾度も繰り返され、
冗長な部分が多いのが気になりました。
結局、1冊を通して言いたかったのは
「ご近所づきあいは大切だよ!」ということだけだったのかも。
「結(ゆい)」の再構築が主張らしいので。

菜の花の住んでいるところでも、確かに周りの住人との繋がりはありません。
お隣さんが孤独死していても、まず気付かないでしょう。
逆もまた然り。菜の花がある日、室内で何らかの事故で動けなくなっても、
出勤してこない、ということで職場の人が心配して訪ねてこない限り、
きっとそのままでしょう。もしも失職していれば、
もう誰もすぐには気付かないでしょう。
それは確かにちょっと怖いことです。
でも、だからと言ってご近所さんと気にし合って生きたくもないという。
実際に、集合住宅のお隣さんに部屋で殺されて、
バラバラ死体にされてしまったという猟奇的な事件もありましたし、
集合住宅の付近住人は「他人」「怖い」という印象が強くなりました。

でも、このままではいけないというのも確か。
本文内でこんなことが書いてありました。

「俺は今日まで誰の世話にもならず過ごしてきた。(中略)
誰のやっかいにもならん。」…という人が、ひとりで部屋で孤独死すると、
付近の住人にはどうしようもない「やっかい」が待っている…と。

言われてみればその通り、という感じで目からうろこでした。
死んでしまったら、自分で自分の面倒も見られませんからね…。

なかなか、難しい問題です。
これからどうなっていくのでしょうね。
そしてどうしていきたいのか…
それは各自が考えていかねばならないことなのかもしれません。
死は、誰のもとにも平等に訪れるのですから。


テーマ : 団地と孤独死
語り口 : レポート的エッセイ
ジャンル : 一般書
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 暗め
装 丁 : 菊池信義

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
簡 潔 性 : ★★+★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★+★★★

総合評価 : ★★★★★
よみもののきろくTOP
515. 「レンタルマギカ 魔法使いの宿命!」     三田 誠
2008.11.22 ライトノベル 235P 495円 2006年1月発行 角川書店
(スニーカー文庫)
★★★★★
アストラル業務日誌短編集。シリーズ第5巻


【100字紹介】
 アストラルの社員旅行で行った海で、
 いつきと黒羽がまきこまれた事件、
 8年前の「入信儀礼」で起きた事件、
 猫屋敷の弟弟子からの依頼で執り行うことになった
 星祭りでの事件と、3つの短編収録のアストラル業務日誌。


オカルト系ライトノベル作品の第5巻。
前作は長編でしたが、また短編集。
短編集になると「業務日誌」ですね。
今回もアストラル社員がそれぞれ書く「業務日誌」掲載です。

第1話は「魔法使いと夏の海」。
社員旅行を兼ねてやってきた海で、
異空間に取り込まれてしまう、いつきと黒羽。
何と、穂波もアディリシアも猫屋敷もみかんもいない異空間で、
「アストラル」では下から数えた方がよさそうな最弱2人だけで
事件を乗り越える羽目に!?です。

第2話は「魔法使いと学校の怪談」。
学校の怪談話が原因であの二人が大喧嘩に!?
そして、アディリシアに届いた「卒業アルバム」。
そこから始まる8年前の「入信儀礼」の思い出話。
穂波とアディリシアの過去の一旦が垣間見えるお話です。

第3話・4話は「魔法使いと星祭り」前後編。
猫屋敷の弟弟子が依頼していた「星祭り」を執り行うため、
いつき、みかん、猫屋敷が出掛けます。
今度は猫屋敷と、そしてみかんの過去の一端が垣間見えるお話。

3作全部で活躍(?)するのはいつき社長だけですが、
それぞれの事情や過去がちらちらと見えつつ、
その成長ぶりや実力も再確認できる短編集です。

しかし魔法使いって難儀ですね…。
「努力」よりも「血」が重要、というのは最近の漫画やアニメでは
なかなか見られない価値観ですよね。
努力しても報われない、という少年漫画ってなかなかないわけで。
ちょっと淋しいですが、現実世界はどうなのでしょうね?


菜の花の一押しキャラ…伊庭いつき 「…これから少し、独り言を呟こうかと」(猫屋敷 蓮)
主人公 : 伊庭 いつき
語り口 : 3人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : オカルト
結 末 : 一話完結
イラスト : pako
デザイン : 中デザイン事務所

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
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516. 「時載りリンネ!1 はじまりの本」     清野 静
2008.11.24 ライトノベル 332P 552円 2007年8月発行 角川書店
(スニーカー文庫)
★★+★★
本を主食とし、時を止める時載りと僕の物語


【100字紹介】
 200万文字の本を読むことで、
 たった1秒だけ時を止めることが出来る一族「時載り」。
 食事は本を読むことである彼らのうち、
 人間界に住む「街の住人」が、僕の幼馴染のリンネ。
 リンネの思いつきで大冒険が始まる。


著者デビュー作のライトノベル。
第十一回スニーカー大賞の奨励賞受賞作の加筆修正版です。

主人公は、(多分)ふつーの人間の男の子・久高。
12歳だったと思うのですが、小学生か中学生かは謎。
時季が夏休みに当たるせいか、学校に関する話はあまり出てこないため。

久高の幼馴染のリンネ宅、お隣さんの箕作(みつくり)家は、
ちょっと変わった一家。ヒトとは違う「時載り」という種族です。
「時載り」は普通の食事は摂らず(でも摂取は可能らしい)、
その主食は本。読書が食事です。
しかも200万文字を読むと1秒ほど、時を止めることも出来ます。
時を止めると言っても、世の中すべてを止めるのではなくて、
飛んでくるボールを一瞬止めるとか、
歩いている人の靴だけ1秒止めて転ばせるとか、
小技がきいている使い方としては、燃えている炎の周りの空気の流れを
一瞬止めることで、消火する、なんてことも出来るらしいです。

そんなちょっと変わった幼馴染のリンネが
「わくわくする大冒険がしてみたいな。」と言い出して始まった、
ある夏の「冒険」がこの物語。最初にリンネが言い出した通り、
「日常の中のふとしたできごとから幕を開けて、
 しだいに謎が膨らんでいく不思議な展開、中盤はミステリーあり、
 活劇あり、友情ありの総天然色の大冒険よ。」
という物語…になっているのかいないのか。
とにかく、恐らく著者が面白いと思ったことを詰め込んだ、
という雰囲気のライトノベルです。

細かいところで、技術的にどうかな…とかこの展開はちょっと…、
というものは散見されますけれども、
全体として確かに「総天然色」というのはその通り。
著者が楽しんで書いている雰囲気と、
とにかくにぎやかで明るい作風に好感を持ちました。
最後の方のリンネは、なかなか深いですしね。

しかし久高、歳の割に冷めすぎでは…。
まあ語り手なので、あんまり幼くてもどうかとは思いますけれどもね。


まだまだ謎も残されていて、副題「1.はじまりの本」からして、
これからシリーズ展開していくのが明白なので、
また機会があれば続きを読むことにしましょう。


菜の花の一押しキャラ…ジルベルト・ヘイフィッツ 「ね、久高、時間って流れているのね」              「何だよ、いきなり」                      「ううん。ただ思ったの。時間って音を立てて流れているんだって。  こうして今この場所、この公園に立っているだけで、        時間はどんどん流れていく」                  (箕作リンネ・メイエルホリド、楠本久高)
主人公 : 楠本久高
語り口 : 1人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : ファンタジー
結 末 : 完結(+)
イラスト : 古夏からす
デザイン : 中デザイン事務所

文章・描写 : ★★+★★
展開・結末 : ★★+★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★+★★
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517. 「"文学少女"と死にたがりの道化」     野村 美月
2008.11.29 ライトノベル 254P 560円 2006年5月発行 エンターブレイン
(ファミ通文庫)
★★★+
人間の心が分からない、孤独なお化けの嘆き


【100字紹介】
 物語を食べちゃうくらい深く愛する”文学少女”遠子先輩と、
 元・天才美少女作家の男子高校生・井上心葉の2人が属す文芸部に、
 恋文代筆の依頼が舞い込む。
 太宰治の「人間失格」を織り込んだ、ミステリアス学園物語。


「このライトノベルがすごい!2009」で1位を獲得した
「文学少女シリーズ」の第1巻…らしいです。
すみません、本作を読了してからそれを知りました。人気シリーズだったのか。


高校生が主人公で、舞台も高校というごく普通の学園物語…、
かと思いきや、妖怪「文学少女」が登場するお話でした。
この妖怪は、物語を「食べます」。
「一章 遠子先輩は美食家です」の冒頭なんかもう、
是非、本文を手にとって読んでみて下さい、面白すぎます。
最初の1ページ目の、学校の一室での静謐な時間…が、
次のページでいきなり別物になりますからね。
淡色で丁寧に仕上げた水彩色鉛筆画が、
いきなりカラフルなサインペン画になったようなギャップが素敵。

直前に読んだ「時載りリンネ!」では、
本を読むことが食事、という「時載り」という種族が登場しましたが、
本作の「文学少女」は、もっと物理的でした、ええ。

と、書くと「遠子先輩」の方が目立ってしまいますが
(実際、そうかもしれませんが)、主人公の方もなかなかどうして。
こちらは一章に先立って「プロローグ」を参照なのですが…、
何と「元・天才美少女作家」という経歴の持ち主。
うっかり人生初の小説を投稿したら最年少の14歳で賞をとってしまい、
映画化されるわドラマ化されるわコミック化されるわのメディア展開、
あっという間に社会現象、でももう書けません!で今は普通の高校生。
まあ、そんなところであります。

というような、とても個性的なメインキャラなのですが、
事件は彼らが引き起こすのではありません。
彼らは事件に巻き込まれてしまうのです。

物語は、太宰治の「人間失格」をなぞらえた展開になります。
章の冒頭や、場面転換の合間などに挿入される「謎の手紙」。
それがまさに、「人間失格」を髣髴とさせるものであり、
物語の主軸となるものです。

分類としては「ミステリ」に入るでしょう。
ミステリにつきものの、素敵などんでん返しにつぐどんでん返し、
という展開もあります。

明るいキャラに反して、テーマはかなり暗めであり、
構成も完全なミステリです。
ライトノベルと言い切るかどうかが一瞬ゆらぎますけれども、
タッチがライトだからライトノベルということで。

それにしてもさすが「文学少女」だけあって、
様々な作家さんや作品名が、さらりと登場しています。
全部読んだことある!という方がいらっしゃったら、
確かに「文学少女(または文学青年)」かも。
残念ながら、菜の花は殆ど読んだことがありません。
ちょっと読んでみようかな、なんて今更ながら思ってしまいました。
特に、ラストの遠子先輩の「説得」、
あれはなかなか素敵なブックトークでしたよ!
太宰治作品に今まさに取り掛からんとしている人がいれば、
あの部分だけでも必読!かも?


菜の花の一押しキャラ…井上心葉 (ああ、食べてる…食べてるよ。何度見てもシュールだ)
井上心葉
主人公 : 井上心葉
語り口 : 1人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 軽いコメディタッチ、内容は暗い
結 末 : 完結(0)
イラスト : 竹岡美穂
デザイン : ティーポートデザイン・高橋秀宜

文章・描写 : ★★★+
展開・結末 : ★★★+
キャラクタ : ★★★+
独 自 性 : ★★★+
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★+
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