よみもののきろく
(2008年10月…503-507)
中段は20字紹介。価格は本体価格(税別)。
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2008年10月の総評 | ||||||
今月の読了冊数は5です。 内訳は一般書1、ライトノベル4。 コンプ計画中の著者の読了数は時雨沢恵一1です。 ライトノベルで無理矢理保ったという感じ…。 2008年10月の菜の花的ベストは、該当なし。 以下、高評価順(同評価の場合は読了日順)に簡単に作品紹介します。 ■「最新図解「進化するネット広告」のすべて」 佐藤尚規 (評点3.5) 「最新図解「進化するネット広告」のすべて」はネット広告を知る概説書。 ネット広告の歴史、広告の種類とそれぞれの特徴、 更には広告を出す場合の助言などを与えてくれます。 これを読めば、ネット広告とポータルサイトを見る目が変わるかも!? ■「業多姫 参之帖―恋染月」 時海結以 (評点3.0) ■「メグとセロンII 三三〇五年の夏休み(下)」時雨沢恵一(評点3.0) ■「レンタルマギカ 魔法使いVS錬金術師!」 三田 誠 (評点3.0) ■「レンタルマギカ 魔法使い、集う!」 三田 誠 (評点3.0) 「業多姫 参之帖―恋染月」は時海結以の 時代ものライトノベルシリーズ第3作。 ミステリであり、恋愛小説であり、時代物であり、オカルトであり、 ファンタジーでもある盛りだくさんなエンタテイメント作品。 第3巻では、恋愛ファンタジーでは王道の「記憶喪失」で、 敵対することになった鳴と颯音を描きます。 「メグとセロンII」は時雨沢恵一のライトノベル作品第2巻。 「リリアとトレイズ」シリーズのスピンオフ作品です。 恋あり、友情あり、ミステリーありの学園物語の下巻です。 他に、セロンとラリーの短編2編を収録。 「レンタルマギカ 魔法使いVS錬金術師!」は三田誠の オカルト系ライトノベルシリーズ第2巻。 父の遺産として、ホンモノの「魔法使い」派遣会社<アストラル>の 二代目社長に無理矢理就任させられたごく普通の高校生・伊庭いつき。 先代社長の更なる遺産を巡って、元アストラル取締役の錬金術師・ ユーダイクスと魔術戦闘を行なう羽目になります。 「レンタルマギカ 魔法使い、集う!」は三田誠の オカルト系ライトノベルシリーズ第3巻。 初の短編集。魔法使い派遣会社アストラルの、 本来の「お仕事」をとりあげた、4つの短編を収録しています。 以上、今月の読書の俯瞰でした。 |
503. 「業多姫 参之帖―恋染月」 時海 結以 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2008.10.02 | ライトノベル | 318P | 560円 | 2003年9月発行 | 富士見書房 (富士見ミステリー文庫) |
★★★★★ | ||||||||||||||||||||||||||||||||||
第3巻。記憶を失い、鳴に刃を向ける颯音… | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【100字紹介】 二人で生きると誓った言葉を真実にするため、 戦いに赴く颯音を送り出した鳴。 しかし戻ってきた颯音は、鳴に関する一切の記憶を失っていた。 失くしてしまった大切な想いを取り戻すための戦いが始まる。 シリーズ第3作 タイトル通り、「業多姫」の第3巻。 舞台はいつも通り、応仁の乱以降の戦国時代。 とある小国の領主の長女として生まれたものの国を捨てた鳴と、 かつて鳴姫を探り、刺客となる使命を帯びていた颯音が主人公。 戦のない理想郷を目指している戸谷ノ庄で、 しばしの安穏とした生活を楽しんでいた2人ですが、 ついに、かつて颯音の属していた「狐」からの刺客がやってきます。 迎え撃つために一人で戦いに赴いた颯音ですが、 庄に戻ってきたときには、鳴の記憶を失くしており、 「狐」時代に戻り、とある使命を遂行すべく、動いていたのです。 何とか記憶を取り戻そうとする鳴なのですが…。 というわけで、これはこれは…波乱ですね。 記憶喪失。恋愛ファンタジーでは王道!? もう一度最初から、この恋をやり直すの!くらいの勢いで。 が、このシリーズ、恋愛ものの割に殺陣、多いですからねー。 (殺陣好きという告白は、前作「弐之帳」あとがき参照。) 普通なら甘くなりがちなストーリーが、血みどろにー。 いや、殺陣以上に、恋愛系ライトノベルでありながら、 必ず登場する「密室殺人」の方が効いていますでしょうか。 いや、凄いです。とりあえず、ごった煮風です。 しかも今回はこれに「誰も見えない、心の声が聞こえます」ですから。 サイコな雰囲気まで混入で、何でもありの素敵な状態に。 エンターテイメント性は抜群!だと思います、ええ。 次回作以降は、また旅ものになるのでしょうか…。 もしもそうだと、ワイルドカードに近い、銀が抜けちゃいますね。 だからこその旅立ちかもしれませんが。 強すぎるキャラは、ストーリーには使いにくいですものね。 |
504. 「メグとセロンII 三三〇五年の夏休み(下)」 時雨沢 恵一 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2008.10.05 | ライトノベル | 210P | 490円 | 2008年5月発行 | メディアワークス 電撃文庫 |
★★★★★ | ||||||||||||||||||||||||||||||
「リリアとトレイズ」スピンオフ作品第2巻 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【100字紹介】 クールなセロン、天然系のメグ、熱血漢少年ラリー、 さばけたナタリア、美形長髪青年ニック、 カメラを手放さない新聞部のジェニーの6人による、 恋あり、友情あり、ミステリーありの学園物語、探検編。 シリーズ第2巻 上巻である第1巻に続く、第2巻、下巻。 アリソンのシリーズを引き継いだリリアのシリーズのスピンオフ作品です。 時間的には「リリアとトレイズ」の第1作と同じ。 完全に「下巻」仕様ですので、 必ず第1巻(上)をお読みの上で、取り掛かられますよう。 ちゃんと章番号も続いています。 上巻で、事件のきっかけが出来て、下巻は探検&謎解きの解決編。 学園の旧校舎の地下室にチャレンジします。 そこに登場してきた真実とは…。 というわけで、学園もの。 ラストでちょっと無茶を通す辺りは、 アリソンやリリアと共通かも。 今回は、以降へ続きそうな雰囲気の終わり。 もちろん、すでに第3巻も刊行されていますので、 これで終わりではありません。 次巻でも、きっと彼らのますますの活躍が楽しめることでしょう。 もしかすると1・2巻は、彼らの顔見せ的な小事件であるのかも。 なお、短編2編も収録。 「セロンの夢」と「セロンとラリー」。 前者は、セロンのこれまでの人生を振り返るレビュー。 後者は、ラリー視点(でも3人称)でのセロンとラリーの出会いです。 思ったよりページが残っているうちに本編が終わってしまったので、 驚きました、ええ。 ちなみにあとがきは、上巻は「キノの旅」のキノ&エルメスでしたが、 下巻では「学園キノ」の木乃とストラップ・エルメスです。 最終ページは、前作に引き続き、イラストの黒星紅白氏のあとがき絵。 ジャージ、そんなに好きなのですね…。 表紙までジャージになってしまいました。 学園モノっぽくて良い演出かもしれませんが。 |
505. 「レンタルマギカ 魔法使いVS錬金術師!」 三田 誠 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2008.10.14 | ライトノベル | 347P | 590円 | 2005年4月発行 | 角川書店 (スニーカー文庫) |
★★★★★ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
先代社長の遺産を巡る戦い。シリーズ第2巻 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【100字紹介】 魔法使い派遣会社アストラルの2代目社長になった、 ごく普通の怖がりな高校生・伊庭いつき。 先代社長の遺産相続に異を唱えた、 元アストラル取締役の錬金術師ユーダイクスと、 魔術決闘を行なうことに。シリーズ第2巻 オカルト系ライトノベル作品の第2巻。 …ええと、第2巻だと思うのですが、 話がいつの間にか進んでいて、間が抜けているような。 確か、アニメで見たときには、 この間を補完するエピソードがありました。 もしかしたら「あとがき」に書いてある、 平行して連載中という長編版の方に、 このエピソードは出てくるのでありましょうか。 例えば、黒羽まなみは確か、1巻ではいなかったような。 穂波は1巻で、正社員ではなかったような…。 とりあえず、その辺りはおいておいて。 今回は夏休み突入。しかし社長にお休みはない!? 何とか逃げ出そうとしたいつきですが、 結局事件に巻き込まれてしまいます。 その発端は、先代社長、つまり父の遺産。 相続手続きをして欲しいと言われ、 初めて訪れた<協会>で、相続に異を唱えたのが、 アストラルの立ち上げメンバーであり、 元取締役であった錬金術師・ユーダイクス。 そしてその遺産を巡って、ユーダイクスとアストラルの 「魔術決闘(フェーデ)」が行なわれることに。 ユーダイクスの力に、アストラルは圧倒されます。 更に、いつきと会う前に、ユーダイクスに接触していた 魔術集団<ゲーティア>首領のアディリシアの身に 何かが起こっているようで…。 今回の敵は、強大ですね。 いつきに関する謎は、ほんの僅かに説明されました。 全貌が明らかには、まだまだなりそうにもありません。 |
506. 「最新図解「進化するネット広告」のすべて」 佐藤 尚規 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2008.10.20 | 一般書 | 191P | 1680円 | 2008年7月発行 | 技術評論社 | ★★★+★ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
ネット広告の歴史と種類、特徴から実践まで | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【100字紹介】 色々な場面で、インターネット上で無料提供されるサービス。 このビジネスモデルを支えているのがネット広告である。 ネット広告の歴史、広告の種類とそれぞれの特徴、 更には広告を出す場合の助言などを与える概説書。 インターネット上には実に、無料提供される便利なサービスがあふれています。 あまりにも便利であるため、ついついそれらのサービスの提供にも、 お金がかかっている、ということを忘れてしまい、 「無料でサービスを受けられて当たり前」というような風潮が出来つつあり、 まあ、職業上菜の花としては色々と被害をこうむっていたりもします。とほほ。 でも、本当に無料のサービスが便利なのです。 例えば、GoogleやYahoo!などに代表される検索エンジン。 もはやこれなしでは情報探索なんて出来ない!と言う人も多いはず。 その他にも、ブログやSNS。フリーメールやHPのスペース。 天気予報に電車や飛行機の乗り換え案内・経路検索、 テレビの番組表、お料理レシピ、無料ゲーム…。 みなさまもそういう無料サービス、ご利用になったことも多いのでは。 これらの運営は、どうやっているのでしょう? 趣味ではない以上、必ずそこには納得できるビジネスモデルがあります。 そうしないと維持できませんからね。 それこそが、ネット広告、なのであります。 本書は、第1章「ネット広告はこうして生まれた」からスタートし、 第2章「こんなにある!ネット広告の種類とそのビジネスモデル」で ネット広告をざっと種類分けすることで概説、 その後、様々なネット広告をやや細かく説明して、 第9章「ネット広告をフル活用する出稿のしかた・効果測定のしかた」まで、 1冊まるごと、ネット広告について語ります。 自分でネット広告、思いつく限り全部挙げてみてよ、と言われると、 なかなか出てこない!のですが、まとめて目の前に並べられると 「あ、そういう広告、確かにあるある」と、頷けるものです。 ということは、実は結構知っているのだけれども、 自分の中で並べられて繋ぎ合わされたことがなかったということでしょうか。 というわけで、とてつもなく目新しいこと、というのが 山ほど書かれていた、というわけでもないのですが、 取りまとめてくれているところに新しい発見がありました。 そうかそうか、そういう長所短所があるのね、とか、 実際に自分が広告を出すなら、こう考えるのか、というような。 そうですね、一般向けというよりも、 中小企業などの広報担当者のための入門書、という感じかもしれません。 図解、となっていますが、全体にはあまり図解きという感じではなく、 どちらかというと、プレゼンのための図、というイメージでした。 いや、でもそれぞれの広告の説明部分で、 こういう広告なのだよ、というイラストは、 とても分かりやすかったですけれども。 これぞ図解…!と確かに思いました。 普段、何気なく見ているネット広告。 こんなことになっていたのかーと。 なかなか興味深かったですが、同時に、 ネット広告とポータルサイトを見る目が若干変わったかも…。 感想は一言、「タダより高いものはないって言うけどね…」。 |
507. 「レンタルマギカ 魔法使い、集う!」 三田 誠 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2008.10.24 | ライトノベル | 268P | 514円 | 2005年8月発行 | 角川書店 (スニーカー文庫) |
★★★★★ | ||||||||||||||||||||||||||||||||
アストラル・お仕事短編集。シリーズ第3巻 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
【100字紹介】 魔法使い派遣会社アストラルの、 本来の「お仕事」をとりあげた、4つの短編。 怪談の病院の呪波汚染の核探し、冬虫夏草の採集、 神社からの審神者派遣依頼、古い絵画の呪波汚染調査。 奔走する異種魔術者シリーズ第3巻 オカルト系ライトノベル作品の第3巻。 前巻である第2巻のとき、ずいぶん間が抜けているような、 と書きましたが、確かに抜けていました。 時間的に間に入るのが今回の第3巻です。 今回は短編集となっています。 黒羽まなみが登場する、病院の呪波汚染核探しの第1話から始まり、 長編とは違い、お金のもらえるお仕事を真面目にこなす(!?)、 アストラルの奮闘ぶりが描かれます。 全4話のうち、第4話以外は、アニメでも取り上げられたエピソード。 第4話は、菜の花の記憶にはないのですが、 見逃した回にやっていたか、または取り上げられなかったのか。 ちょっと悲しい感じ…というか、全部悲しい感じですが。 どのお話にも、「死」がつきまとっているイメージがあります。 哀しさの上に事件は成り立っているというような。 まあ、お話の性質上、どうしてもそうなりますね。 展開の雰囲気で言えば、マイナスの事象を何とかゼロか、 キャラの明るさなどでプラスに持っていこうとする、 そういうシリーズということになるでしょうか。 全体的に、第1巻のコメディタッチで、 とにかく軽くウケを狙っていく、という文章のはねたような、 素人風の感じが、ずいぶん落ち着いて読みやすくなりました。 良い傾向です。 各話の間に挿入されている見開き2ページの「業務日誌」があります。 1が穂波、2が黒羽まなみ、3が葛城みかん、4が伊庭いつき。 殆ど、交換日記のノリですが(それでいいのか、業務日誌)、 何となく楽しい雰囲気を出しています。 長編になっても入っていたら楽しいですのに。 それにしても、猫屋敷さんが相当強いらしい、というか一流らしい、 ということが明確に書かれています。意外ですね(←酷い)。 |