よみもののきろく

(2008年5月…453-462) 中段は20字紹介。価格は本体価格(税別)。 もっと古い記録   よみもののきろくTOPへ  もっと新しい記録
2008年5月の総評
今月の読了冊数は10です。
内訳は長編1、一般書3、ライトノベル6。
ラノベ、多いです。
コンプ計画中の著者の読了数は椹野道流1、結城光流1、壁井ユカコ3です。

2008年5月の菜の花的ベストは…。該当なし。
今回は完全に団子状態で、ほとんど評価に差がないのですが、
以下、高評価順(同評価の場合は読了日順)に簡単に作品紹介します。

 「一日江戸人」               杉浦日向子(評点3.5)
 「ポンペイの遺産 2000年前のローマ人の暮らし」青柳正規(評点3.5)
 「鳥籠荘の今日も眠たい住人たち1」     壁井ユカコ(評点3.5)
 「デュアン・サークII 5,6」       深沢美潮 (評点3.5)
 「鳥籠荘の今日も眠たい住人たち2」     壁井ユカコ(評点3.5)

「一日江戸人」は杉浦日向子の、実用的なおもしろ江戸案内書。
形式にこだわらずに、江戸庶民の日常生活や年中行事の中で、
面白そうな話をてんこ盛りにした、エッセイ的作品です。
気楽に楽しく、江戸っ子気分を味わえます。

「ポンペイの遺産」は2000年くらい前(正確には西暦79年)に、
ヴェスヴィオ火山噴火により、街全体が地中に封印されてしまった
悲劇の都市ポンペイの遺跡を、豊富な写真や再現CGで紹介する、
「見て楽しめる」古代ローマ案内書です。

「鳥籠荘の今日も眠たい住人たち1」は、壁井ユカコの新シリーズ。
”ホテル・ウィリアムズチャイルドバード”、通称・鳥籠荘に住む、
普通の社会になじめない一風変わった住人たちの、
ちょっとおかしなフツーの日常をつづる連作短編ライトノベル。
第1作はジョナサン、キズナ、華乃子&着ぐるみパパ、
浅井をフューチャーした、4つの物語が収録されています。

「デュアン・サークII 5,6」は、深沢美潮のライトノベル。
その名の通り、デュアン・サークシリーズの第2部の、5巻6巻。
剣と魔法の冒険世界という、RPGゲームのような世界を舞台に、
ひよっこ剣士からすっかり英雄になりつつあるデュアンの新たなる冒険と、
ベテランファイターのオルバの厳しいクエストを描きます。

「鳥籠荘の今日も眠たい住人たち2」は、壁井ユカコの
ライトノベル「鳥籠荘」シリーズの第2弾。
何巻から読み始めてもOKな連作短編。
ヘレンさん活躍の中学生時代のキズナがキーパーソンになる物語、
浅井有生と井上由起の子供時代を描く物語、
それにキズナ&浅井&由起の現在の物語の3編を収録しています。


 「貴族探偵エドワード 瑠璃の涙を流すもの」 椹野道流 (評点3.0)
 「NO CALL NO LIFE」     壁井ユカコ(評点3.0)
 「デュアン・サークII 3,4」       深沢美潮 (評点3.0)
 「図説 ロンドン都市物語」         小林章夫 (評点3.0)
 「少年陰陽師 思いやれども行くかたもなし」 結城光流 (評点3.0)

「貴族探偵エドワード 瑠璃の涙を流すもの」はその名の通り、
椹野道流の貴族探偵エドワードシリーズの1作で、第6巻にあたります。
前作からの続きで、位置づけとしては下巻、といういった感じです。

「NO CALL NO LIFE」 は壁井ユカコの単発長編。
刹那的で稚拙な、十代の恋と生き方を描いた物語です。
「同じところが欠けた、似たもの同士」の二人が出会い、
そして怒涛のように突き進んでいった結末は…。
オトナになりきれなかったコドモの、
とても切ない、悲しいストーリーです。

「デュアン・サークII 3,4」は、深沢美潮のライトノベル。
デュアン・サークシリーズの第2部の、3巻4巻。
偉大なる魔法使いサヴァランとともに、金の森へ向かいます。
剣と魔法の冒険世界という、RPGゲームのような世界を舞台に、
デュアンの精神的なステップアップを中心に描いています。

「図説 ロンドン都市物語」は、市民視点のロンドン近代史。
副題「パブとコーヒーハウス」の名の通り、
一風変わった切り口から、中世ヨーロッパへ飛び込みます。
解説的文章ですが、図版が豊富なので
「難しすぎる」ということはないでしょう。
ロンドンの今と昔を旅した気分になれるかもしれません。

「思いやれども行くかたもなし」は結城光流のライトノベルで、
少年陰陽師シリーズ第20巻。閑話休題の短編4編収録です。
昌浩&敏次、玄武&汐、太陰&巽二郎、六合&風音のコンビが、
それぞれ中心になっています。全体的に「春だなあ」という印象。

以上、今月の読書の俯瞰でした。







453. 「一日江戸人」     杉浦 日向子
2008.05.03 一般書 265P 438円 1998年4月小学館
2005年4月発行
新潮文庫 ★★★+
現代の江戸人がおくる、おもしろ江戸案内書


【100字紹介】
 現代の江戸人・杉浦日向子による、実用的かつ、
 まことに奥深い江戸案内書。江戸美人の基準、
 三大モテ男の職業、衣食住など、
 江戸の人々の暮らしや趣味趣向がこれ1冊で分かる!
 豊富なイラストで、気分は江戸っ子!?


江戸ものです。
主に庶民の暮らし、粋な江戸っ子ってどんな風?
…というようなことを、1つのテーマにつき数ページで語ります。
自作のイラスト図解も多用されていて、
それぞれのテーマで何ページかを使っていることが多いですね。

全4章構成で、それぞれ入門編、初級編、中級編、上級編と
銘打たれていますが、どの辺りが入門で、どの辺りが中級で…、
というのはちょっと判然としません。
それぞれの章に10前後のテーマがあります。

例えば、どんなテーマがあるかというと、こんな感じ。

第一章 入門編
  • 大道芸
  • 生涯アルバイター
  • 義賊列伝
  • 江戸の奇人変人
  • How to ナンパ
  • 江戸の色男
  • 美女列伝
  • ザ・大奥
  • 将軍の一日
他の章では、「長屋の生活」とか、「夏の過ごし方」、 「食」などの庶民の日常生活、 「師走風景」「正月縁起づくし」の年中行事、 「ホビー」や「江戸見物」「相撲」「How to 旅」から 「決定版マジナイ集」なんてものまで、江戸の風俗も分かります!? 体系的でも網羅的でもないですが、 面白そうな江戸話をてんこ盛りにした、エッセイ的作品です。 江戸の人って、結構たのしげ…と思えますね。 まあ…全員が全員、こんな気質じゃなかったでしょうけれど、 こんな楽しそうな江戸っ子的生き方、 もしかしたら自分も取り込めるかも…? なんて思えるかもしれません。(保証はしませんけど。) 気楽にたのしく江戸の雰囲気を味わって、 読んでいる間、「一日江戸人」になってみませんか?…な1冊です。
テーマ : 江戸の暮らし
語り口 : エッセイ
ジャンル : 一般書
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 楽しい

文章・展開 : ★★★+
学 術 性 : ★★★★★
簡 潔 性 : ★★★★
独 自 性 : ★★★+
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★+
よみもののきろくTOP
454. 「貴族探偵エドワード 瑠璃の涙を流すもの」     椹野 道流
2008.05.04 ライトノベル 222P 457円 2007年10月発行 角川ビーンズ文庫 ★★★★★
英国風ミステリアス・ストーリー第6幕

【100字紹介】
 三拍子揃った私立探偵エドワードは、守り役シーヴァ、
 霊感少年トーヤとともに「暇が取り柄」ながら、
 楽しく暮らしている。親友アルヴィン行方不明事件の捜査中、
 トーヤまで誘拐され…過去と向き合う、シリーズ第6巻 


シリーズ第6巻です。
主人公は貴族のお坊ちゃんでありながら
趣味に走っていきなり私立探偵になったエドワード。
容姿端麗、頭脳明晰、家柄最高で三拍子揃っているけど、
結構ワガママお坊ちゃん。
そんなエドワードを支える守り役の青年シーヴァ。
助手見習いの霊感をもつ少年トーヤ。
エドワードの学生時代からの友人で発明家のアルヴィン。
それに彼らの住むロンドラ市警のプライス警部補と、
彼に命を救われた天涯孤独の少年マイカ。
…とここまでがメインキャラ、ずいぶん増えましたね。

本巻は前作の続きです。
位置づけとしては下巻、といったところ。
前巻ラストで誘拐されてしまったトーヤはどうなったのか!?
そして残された人々は…!…というところからスタートです。

一応、この話は円満かどうかはともかく、綺麗にまとまって終わります。
何か色々ありましたけど。
「え、大丈夫なの!?」というのもありましたけど。

どちらかというと、展開はちょっと都合よすぎかなー、
という感は否めませんでしたが、
まあ、エンターテイメントなので、と割り切っておこうかな、と。
ラノベだし。
私立探偵が主人公ですが、決してミステリではありませんので。
かと言って、完全に浅いわけでもないですし。
マイカをめぐる話など、精神的に「強くならなくちゃ」なエピソードも。
ああ、でもやはりこの著者と言えば…!
最大の特徴はやっぱりあれでしょう!
…ちょっと生々しい(笑)。
血液とかー…。怪我とかー…。
さすが元監察医。。。
何か見てきているものが違うよね、って感じで…。

何だかまた、新しい仲間(?)も増えましたし、
次巻がどうなるか、楽しみです。


菜の花の一押しキャラ…ジェイド 「それがわたしの覚悟ですよ、エドワード様。」 (シーヴァ・アトウッド) 何かを覚悟している人は、強いのです。
主人公 : エドワード・H・グラッドストーン
語り口 : 3人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト
雰囲気 : オカルト・ミステリ
結 末 : ハッピーエンド
イラストレーション : ひだかなみ
デザイン : Bell’s

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★+★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
椹野道流の著作リスト よみもののきろくTOP
455. 「NO CALL NO LIFE」     壁井 ユカコ
2008.05.05 長編 293P 1400円 2006年8月発行 メディアワークス ★★★★★
心が擦り切れそうな、刹那的で拙い恋の物語


【100字紹介】
 時間を越えて電話が繋がる…?
 携帯電話に残された、奇妙な間違い電話に
 引き寄せられて出会った有海と春川。
 17歳と19歳、オトナとコドモの間で
 押し潰されて行き場を失った2人の、
 あまりにも刹那的で拙い恋の物語


オトナとコドモの間を描く…というか、
コドモ時代をよりよく過ごせなかったがゆえに、
オトナになりきれないコドモを描くことが多い作家、壁井氏登場。
「キーリ」しかり、「カスタム・チャイルド」しかり。
本作もまあ、同系統。
ラストの方の「あと少し、あと少しだけ…」というのも
やっぱり同系統。きっと好きなんでしょうね。
菜の花も嫌いじゃありません。退廃的な中に希望が…という
風景を描くラノベ作家さん、という印象です。

今回は、形式上はラノベではないですね。
内容も…、多分普通の小説というくくりでいいのかな。

17歳の、過去がちょっと複雑そうな少女、有海。
友人に囲まれているし、恋もするし、嫉妬もしていて
現状、ごく普通の女子高生。
でも、奇妙な間違い電話により、
携帯に留守電メッセージが入っていたことから、
いつの間にか非日常の世界を垣間見ていて…。
そして出会ったのが春川というちょっと不思議な青年。
頭の上に、ひまわりとチューリップが一緒に咲いているんじゃないか?
というちょっと浮世離れした雰囲気を見せながら、
過去に何だか不気味なエピソードもあるようで…。


奇妙さ、不気味さの中にも比較的ゆったりと語られる前半と、
怒涛のように突き進んでいく後半。
こういう流れも、この著者の他の作品と同系統。

前半の不気味さの演出は、謎の留守電メッセージと、
本人も思い出せずにいる有海の幼少時代のことなど。
しかし、留守電メッセージ、最初はもっと
物語に食い込んでくるかと思ったのですが、
思ったよりは「小道具」扱いで、ちょっと残念。
面白い演出だと思ったのですが、
「どうして?」という理由付けも特になく、
その辺りが少々消化不良な感じです。


全体のキーワードはひたすら「刹那的な生き方」かな。
そして、とてもコドモらしい、稚拙な生き方でもあります。
オトナに反発する彼ら。
でもどんなコドモもいつか、何事もなかったかのようにオトナになる。
多分、有海や春川以外の登場人物たち…航兄やチサコ、
日野ちゃんやマッキーたちは、そうしてオトナになっていく。
でも航兄が作中で言うように「同じところが欠けた、似たもの同士」の
有海と春川は、その欠けた何かを置き去りにしたまま、
オトナにはなれなかったのだろうなと。
だから、菜の花は彼らのようには生きられないから、
その姿を息を詰めて見ているだけなのです。
まあ…そのように生きたいとそもそも思わないわけですが。
読んでいるとき思わず、もうやめようよ、
もっとオトナになろうよ、と言いたくなってしまう菜の花は、
もうコドモじゃないんでしょう。(ちょっと淋しい。)

何だかイマドキな感じの青春もの(?)でした。
ただしラストはハッピーエンドとは言えないので、
積極的に人には勧められないですね。
だって菜の花はハッピーエンド好き。
全体的に、読んでいて切ない…というか、悲しいというか…
うん、そう、まさに心が擦り切れそうな感じの作品です。


菜の花の一押しキャラ…チサコ 「…思いださないほうがよかったことを、思いだしてしまった」 「だったらまた忘れればいいんじゃん?」           (佐倉 有海 & 春川 真洋)
主人公 : 佐倉 有海
語り口 : 3人称
ジャンル : 恋愛小説
対 象 : ヤングアダルト〜一般向け
雰囲気 : 刹那的な青春もの
結 末 : Happy ENDではない
イラスト : 鈴木 次郎

文章・描写 : ★★★+
展開・結末 : ★★★+
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
壁井ユカコの著作リスト よみもののきろくTOP
456. 「デュアン・サークII 3、4 魔法戦士誕生(上)(下)」     深沢 美潮
2008.05.07 ライトノベル 232P
262P
510円
530円
2004年1月発行
2004年8月発行
メディアワークス
(電撃文庫)
★★★★★
魔法修行を始めたデュアンに、大きな転機が


【100字紹介】
 デュアンはオルバ、アニエスと別れ、
 魔法戦士を目指すため、バハルムの偉大なる魔法使い
 サヴァランの家に居候している。
 しかし大事件が発生し、金の森へ行くことに。
 デュアンに大きな転機が訪れるシリーズ第3・4巻


デュアン・サークの第2部であるデュアン・サークIIの
第3巻・第4巻です。これも上下巻。

主人公でファイターのデュアン・サーク(Lv.6)は
第1巻からレベルが2つも上がりました。
その他のシリーズの主要キャラである
ベテランファイターのオルバ・オクトーバと、
魔法使いのアニエス・R・リンクは今回はメインシナリオに絡まず。
デュアンは彼らと離れ、羽トカゲのチェックとともに
双頭の魔術師・金目銀目の故郷であるバハルムに。
前作でも登場した偉大なる魔法使いのサヴァランの家に居候中です。
もちろん目的は、尊敬するクレイ・ジュダと同じ、
「魔法戦士」を目指しての修行。

しかしちっとも魔法は教えてもらえない…そんな中、
突然の訪問者が何やら恐ろしい事件をもってきて…、
サヴァランとウィラック、デュアンとチェックは、
金の森に向かいます。そこで新たなる仲間を迎え、
厳しい冒険が始まるのです。

今回はデュアンの精神的なステップアップと、
そして副題になっていること、その辺りがメインテーマですね。

でも、上下巻のうち1章ずつ、こっそりオルバが紛れてます。
メインシナリオには直接関係ないのですが、
何とオルバの昔の話が…!オルバファン必見ってやつでしょうか。
オルバってそういう人だったんだなあと思うこと請け合いです。



菜の花の一押しキャラ…アルフレック・ヴォルガー 「おいおい、何さっきからため息ばかりついてんだ。あああ?          いいか、ため息をひとつつくたびに、ひとつ幸せを逃しているって言うぜ?」 (ウィラック)
主人公 : デュアン・サーク
語り口 : 3人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : RPG系ファンタジー
結 末 : まあ、ハッピーエンド
イラスト : 戸部 淑
デザイン : 鎌部 善彦

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
よみもののきろくTOP
457. 「ポンペイの遺産 2000年前のローマ人の暮らし」     青柳 正規監修
2008.05.09 一般書 128P 1900円 1999年12月発行 小学館 ★★★+
遺跡と再現CGなどで蘇るローマ人の暮らし


【100字紹介】
 西暦79年のヴェスヴィオ火山噴火により、
 街全体が地中に封印され、忘れ去られた悲劇の都市ポンペイ。
 発掘調査により蘇った当時のローマ人の生活を、
 豊富な写真やCGなどで紹介する「見て楽しめる」古代ローマ案内


2000年弱前に火山噴火により埋もれてしまった古代都市ポンペイ。
この遺跡と遺跡発掘により明らかになった当時の威容や暮らしを、
再現CGや模型によって紹介する本です。
写真が多いため、紙もしっかりしていて、
A4サイズでちょっと大きめ。
100P以上がカラーになっています。

基本的に見開き2Pで1セット。
まるで雑誌の特集号のような贅沢なレイアウトに、
1-5枚の大版写真が入ります。
それぞれにキャプションおよび若干の解説文はあります。
ポンペイについて予備知識ゼロですと、ちょっと厳しいかもしれませんが、
ちょっとでもかじった人なら大丈夫でしょう。

後半の白黒ページになったあとから、
ポンペイの歴史およびポンペイ発掘調査の歴史が解説されています。
あまり知らない方はこちらを先に読む方がよいかもしれません。
また、一番最後の3ページ分、
「ポンペイへの行き方」と「ポンペイ遺跡の歩き方」が、
遺跡見学のガイドになっています。
日本からの直行便を使うならローマがいいよ、とか、
ローマからは私鉄で行った方が駅が遺跡入口に近いよ、とか
更にどういう順番にどう回ると、見落としなく堪能できるよ、
ということが紹介されていますので、もしも行ってみよう!
なんて方がいらっしゃったら必見かもしれません。


西暦の二桁台にその時計を、ぴたっと止められてしまったポンペイ。
菜の花の感覚ではそれは、恐ろしく昔のことであり、
まだ何もなかったんじゃないか、と思ってしまうほどなのに、
ポンペイの壁画やモザイクは、何と生き生きとした、
しかも現代でも十分通じる美しさを持っているのでしょう!
特にモザイクの凄さには圧倒されました。
えー!!こんな躍動感あふれる、また緻密で写実性にも富む作品が、
こんなにも身近にありあまっている生活って…!
何というか、現代よりもずっと豊かなのでは!?と。
まあ、それは富裕層に限ったことなのかもしれませんけれど…。


ポンペイは悲劇に見舞われてしましましたが、
埋め込まれてしまったが故に、タイムカプセルのごとく、
当時の姿をそのまま、今に残しています。
長い目で見れば災い転じて…ですが、当時の人にとっては
とんでもない悲劇であったことには変わりありません。
せめてその供養に、ポンペイから何かを感じ取ってみる、
というのもありかもしれません。
彼らの人生を謳歌した姿を取り込んでみるとか、ね。


テーマ : ポンペイ遺跡と古代ローマの暮らし
語り口 : 紹介
ジャンル : 一般書
対 象 : 一般向け
雰囲気 : ビジュアル

文章・展開 : ★★+★★
学 術 性 : ★★★+
簡 潔 性 : ★★★+
独 自 性 : ★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★+
よみもののきろくTOP
458. 「鳥籠荘の今日も眠たい住人たち1」     壁井 ユカコ
2008.05.12 ライトノベル 269P 550円 2006年11月発行 メディアワークス電撃文庫 ★★★+
鳥籠荘の、ちょっとおかしな住人たちの物語


【100字紹介】
 ”ホテル・ウィリアムズチャイルドバード”、
 通称・鳥籠荘には、普通の社会になじめない
 一風変わった人達が住み着いている。
 ちょっとおかしな住人たちの、ちょっとおかしな、
 けれど色々フツーの日常をつづる連作短編


「キーリ」で電撃小説大賞からデビューした壁井ユカコの、
新しいシリーズもの第1作。単発ものを含めると4作目ですね。

新シリーズは、日本が舞台。一応現代…なのかな。
ただし、どうやら浮世離れした人たちばかりが集合しています。
元ストリートガールで基本ひきこもりの衛藤キズナ、高校中退の17歳。
翳を背負ったひきこもり芸術家青年の浅井有生。
知能が幼児並みしかないけれど純真な青年・ジョナサン。
ゴスロリ小学生と気ぐるみのパパの奇妙な父娘。
一見すると快活な美人、だけど…な井上由起。
その他にも不気味な双子の老人、妄想癖の美女などなど。
本作はホテル・ウィリアムズチャイルドバードに住んでいる、
ちょっと奇妙な彼ら1人1人をフューチャーした、連作短編4話です。

ちなみにホテル・ウィリアムズチャイルドバードは、
その昔、ヨーロッパの貴族が建てた西洋建築の別荘で、
この物語の時点では、家具つきのアパートとして貸し出されています。
名前はホテルだけど、アパートなのです、はい。
ただし自炊している描写はあまりないですが…。
あ、でも華乃子ちゃんは、がっつり自炊していましたっけね。
一応、キッチンは…あるということですね。
そういえば、浅井さんの部屋にも(使い物にならない)流しがあったはず。

そんなところで、それぞれの問題を抱えた住人たちが
世間の「フツー」とは違う時間や世界で「フツー」に生きているような、
日常なのか非日常なのか謎の姿を描きます。
第1話は知能未発達の青年ジョナサンの物語、
第2話はキズナがストリートガールだった頃の物語、
第3話は小学生の華乃子ちゃんと何故か着ぐるみのパパの物語、
そして第4話は、浅井有生の、振り切れない過去の物語。

何だか、色々と「らしい」です。そう、こういう作風。
第3話がやや異色な感じがしましたけれども、基本的には。

シリーズらしいのでまだまだ先があるようですが…、
これからどうなっていくのか、誰を取り上げていくのかが謎で、
色々と楽しみです。


菜の花の一押しキャラ…井上 由起 「右手で描くとか」                    「あんた右手じゃ三歳児レベルの絵しか描けないでしょうが」 (浅井 有生&大澤)
主人公 : 衛藤 キズナ ほか
語り口 : 3人称
ジャンル : 小説一般
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 淡々と、フツーじゃないフツーの日常
結 末 : 一話ごとにオチ、悲喜こもごも
イラスト : テクノサマタ

文章・描写 : ★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★+
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
壁井ユカコの著作リスト よみもののきろくTOP
459. 「デュアン・サークII 5、6 勇者への道(上)(下)」     深沢 美潮
2008.05.17 ライトノベル 264P
294P
530円
550円
2005年5月発行
2005年11月発行
メディアワークス
(電撃文庫)
★★★+
デュアンの新たな冒険と、オルバのクエスト


【100字紹介】
 ロンザ国国王より首都へ招かれたデュアンたちは、
 その壮麗さに驚く。夢のような時間を過ごしたのち、
 再び新たな冒険へと旅立つデュアン。
 同じ頃オルバは、闇魔絡みらしいクエストに挑んでいた…
  シリーズ第5巻・6巻


デュアン・サークの第2部であるデュアン・サークIIの
第5巻・第6巻です。これも上下巻。

主人公でファイターのデュアン・サーク(Lv.7)は
第3巻からレベルが1つ上がりました。
前半は偉大なる魔法使いであり師匠でもあるサヴァラン、
その小間使いで同居人のウィラック、
前作で仲間になった森の少女・ルルフェットと
彼女の保護者でモンスターのルイーザが、
ロンザ国王にお呼ばれして首都へ入り、城で過ごす話、
後半はデュアンがオルバと合流すべく旅立ち、
そして途中で巻き込まれる事件の話。

そして本作のもうひとりの主人公が
そのベテランファイターのオルバ・オクトーバ(Lv.15)。
彼の方はまったく別のクエストに挑むことになります。
これに駆け出しの頃の師匠でもあった戦士のアルフレック(Lv.14)と、
アルフレックが是非今回のクエストで必要だからと迎えにいった
僧侶のズーニョ(Lv.14)という、ハイレベルなパーティーで、
アルフレックの知人からのヘルプに応じます。

これらの話は独立していて、重み付けは大体同じ。
何故にこれらを交互にやらねばならなかったかは謎。
リンクして深みを増すなら1冊にするべきですけれども、
まったくリンクしている様子がありません。
極端な話、上下巻にしないで、5巻はデュアンの章、
6巻はオルバの章、としたって何の問題もなさそう。
まあ、ずっとひとつの話を読むのが飽きるとか、
書くのが飽きるなら仕方ないですが…、意図は不明。

ちなみにもうひとりのシリーズの主要キャラである
魔法使いのアニエス・R・リンクは登場せず。
あ、手紙と夢には出てきましたが。

どちらの話にも、思わず…という本心からの反応とか考え方なんかも
描き出していて、単なるエンターテイナーからレベルアップしたなあ、
という印象がありました。心理描写とか、以前より鋭くなった気がします。
文章も、素人っぽさが減って読みやすくなってきていますしね。

クライマックス直前の、あの喪失は…
思わず悔やむに悔やみきれないというか、
これは惜しいことをしすぎだー!!!というような気持ちに、
ええ、なりました。つまりはここに至るまでの過程で、
十分にあの人に感情移入していたと、そういうわけですね。
これが文章にのせられたのか、キャラにのせられたのかは謎。
どちらにしても著者にのせられているにはかわりはありません。

今回は面白い出会いがあり、悲しい別れもありました。
この出会いが、今後どうなっていくのか…楽しみですね。
と言いながら、次巻始まってみたらいなくなっていたりして。
その可能性も、なきにしもあらず。


菜の花の一押しキャラ…アルフレック・ヴォルガー 「人の世話をして、初めて人は一人前になっていく…とも言えるんじゃないでしょうか?」 (デュアン・サーク)
主人公 : デュアン・サーク
語り口 : 3人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : RPG系ファンタジー
結 末 : 何とか解決
イラスト : 戸部 淑
デザイン : 鎌部 善彦

文章・描写 : ★★★+
展開・結末 : ★★+★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★+★★

総合評価 : ★★★+
よみもののきろくTOP
460. 「図説 ロンドン都市物語 パブとコーヒーハウス」     小林 章夫
2008.05.23 一般書 112P 1800円 1998年8月発行 河合出書房新社 ★★★★★
パブとコーヒーハウスで辿るロンドン近代史


【100字紹介】
 イギリスでビールといえばパブ。
 130年ほど前から文献に登場するパブだが、
 それに当たるものはもっと以前からあった。
 中世ヨーロッパから現代まで、酒場と社交場から、
  ロンドンの市民生活を豊富な図版とともに辿る


「物語」とタイトルにつきますが、分類は歴史。
都市としてのロンドン史で、視点が市民。
切り口は副題の通り、パブとコーヒーハウス。
なかなか斬新かも。

イギリス人と深い関係のあるアルコールと言えばビール、らしいですね。
そしてビールと言えばパブがなければ話にならない…らしい。
パブは「パブリック・ハウス」の略語で、公共の家、ということ。
一種の社交場なのです。人が集まるところに、歴史が見える、と。
パブ自体が文献に登場するのは130年くらい前
(ただしこの本自体が10年前に出ているので、本日から見れば
140年くらい前、というのが正しいところか)。
ただし、その前身ともいえる「パブリック・ハウス」に当たるものは
もっと以前からあって、それが「タヴァン」「エールハウス」
「イン」である…と続きます。
そしてその3つの説明から、歴史の中に飛び込んでいきます。

スタート地点が上記の3つで、中世から。
その後はそれらの変遷を辿りつつ、新しい方へ順に進んでいきます。
その話題は様々で、個性的なパブの看板たちをカラー写真で紹介したり、
旅の話、娯楽の話、公衆衛生の話…、いかにパブというものが、
市民生活に密接に関わっていたかが分かります。
それと、その周辺を語ることで、その時代の市民と、
そして時代がともに語られてくることで。
なかなか面白い切り口、ということですね。


基本的には教科書調の事実としての解説的文章ですが、
そこまで重くはないかな。でも軽くもないですけれども。
そこそこ学術的な雰囲気もあり。
一番見るべきところは「図説」というタイトルを冠しているだけあって、
図版が豊富であるところでしょうか。
実に様々な写真や絵が、入っています。
図版が1つもないページなんてないくらい、
図版に埋もれているといいますか。
古い絵であったり、今の姿の写真であったり。
ロンドンの今と昔を総合的に旅した気持ちになれるかも?

日本で言うところの「江戸」であるロンドン。
この前、その江戸の市民生活の本を読んだところでありますので、
その違いというのもなかなか面白いと思います。
国が違えばこんなにも違うのかというか。
そういう読み比べも、結構楽しいかも?


テーマ : ロンドン近代史
語り口 : 教科書調
ジャンル : 一般書
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 図版豊富

文章・展開 : ★★★★★
学 術 性 : ★★★★★
簡 潔 性 : ★★★★★
独 自 性 : ★★★+
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
よみもののきろくTOP
461. 「少年陰陽師 思いやれども行くかたもなし」     結城 光流
2008.05.25 ライトノベル 237P 476円 2007年10月発行 角川ビーンズ文庫 ★★★★★
安倍晴明の孫昌浩の活躍!シリーズ第20巻


【100字紹介】
 時は平安。主人公の14歳の昌浩は、
 稀代の陰陽師・安倍晴明の末の孫。
 十二神将にスポットライトを当てた物語など短編4編。
 昌浩と敏次、成親と行成、玄武と汐、太陰と巽二郎、
 六合と風音、様々なコンビが物語を彩る

シリーズ第20巻であり、珂神編が終わったところで番外編の短編集。
今回の4編はそれぞれ、
昌浩&敏次、玄武&汐、太陰&巽二郎、六合&風音…のコンビが、
中心になっている…と言ってもいいでしょうか。
まあ、実際はもっともっと沢山のキャラたちが入り乱れ、
それぞれいい味を出しているのですけれども。
第1話の成親&行成もいいですし、
第3話の昌親 or 成親&彰子なんてのも面白いですし、
第4話の勾陣&天一なんてのもありですし、
同じく第4話で勾陣&もっくんだって…。
まあ、どれをとっても、基本的にはキャラもので。
キャラとキャラのつながりで読ませるというのは、
まあライトノベルの基本形であるわけですけれども。


●「百鬼夜行の蠢く場所は」
 昌浩の兄・成親の友人でもある右大弁・行成が呪物を受け取った。
  陰陽生の敏次と共に、陰陽寮直丁として呪詛返しに行成のもとへ
  遣わされた昌浩だが、敏次とはまだまだ行き違いがあって…。
  
 <感想>
 とっしー、著者に愛されていますねー。
 いつか、もっくんの存在にも気付いて欲しいものです!?
 知らないせいでむしろ、彼の本質が見えてくる…のかも。
 それにしても普通の相手なら、昌浩はもう一人前ですよ!
 いつもありえない強敵ばかり相手にするからぼろぼろになりますけれども。
 成親の伝言「すまん」にちょっと笑った菜の花でした。
  
 評定:★★★★★
  
  
●「思いやれども行きかたもなし」
 晴明の夢に現れた、助けを呼ぶ声。
 占じたときに見えた屋敷へ飛んだ玄武と太陰は、
 盲目だが彼らの存在を感知できる幼い汐姫に出会う。
 彼女は7つの春に水神に召される巫女だというのだが…。
  
 <感想>
 玄武…どうしたー!!!…と叫んだファンは多いことでしょう。
 メインではないではないところですが、朱雀の一言
 「案ずるな、俺の天貴が汐姫を守る」…で思わず、
 お前のかよ!…と叫んでしまってから、まあそうなんだろうけどさ、
 ぶつぶつ…と菜の花が独り言を言っていたのは内緒です。
 うーん、天一はどうしてこんなのがいいのでしょーか。
 って、本気で本筋と関係ない。。。
  
 評定:★★★★★


●「疾きこと嵐のごとく」
 都で突風による被害が続出。行成も怪我を負い、
 市に出掛けた彰子も被害に。どうやら風の中に何かの影があったらしい。
 これは妖異の仕業かと調査に乗り出した十二神将と昌浩。
 その影はどうやらふたつらしい。
  
 <感想>
 また大陸からお客さま。太陰、大活躍です。
 さもありなんな感じで。最初から最後までとっても「らしい」。
 しかしこれ、実はこっそり彰子物語とも言えたりして。
 ラストのオチは…、頑張れ、昌浩!そろそろ認めようよ!
  
 評定:★★★+


●「それはこの手の中に」
 戦いの終わった道反の聖域で、「仁義なき戦い」勃発中。
 養生のために残った勾陣、天一、それに六合だったが、
 そこへ国津神の比古神がとんでもない要求を持ってきた!
  
 <感想>
 六合、「馬の骨」から「まだまし」に昇格(by 勾陣)。
 前巻の後日談になります。六合、苦労人ですねー。
 これからどうするのやら。結局引き立て役にされた国津神…。
 ちなみに著者曰く、裏主役は姫至上主義の守護妖たちでした。
  
 評定:★★★★★


他の巻に比べると、全体的に春だねえ…みたいな。
たまにはこんな少年陰陽師の世界も、ありということで。


菜の花の一押しキャラ…安倍 昌浩 「失礼な。これは外堀を埋めているというんだ」(安倍 成親)
主人公 : 安倍 昌浩
語り口 : 3人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 歴史オカルト
結 末 : 一話完結
イラスト : あさぎ桜
デザイン : micro fish

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★+
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
結城光流の著作リスト よみもののきろくTOP
462. 「鳥籠荘の今日も眠たい住人たち2」     壁井 ユカコ
2008.05.26 ライトノベル 269P 550円 2007年4月発行 メディアワークス電撃文庫 ★★★+
鳥籠荘の、ちょっとおかしな住人たちの物語


【100字紹介】
 ”ホテル・ウィリアムズチャイルドバード”、
 通称・鳥籠荘には、普通の社会になじめない
 一風変わった人達が住み着いている。
 ちょっとおかしな住人たちの、ちょっとおかしな、
 けれど色々フツーの日常をつづる連作短編


紹介文が、20字も100字も前回と同じもので…どうもすみません。
でも連作短編の第2巻なので…。
基本的にはどちらから読み始めてもOK、というもの。

ホテル・ウィリアムズチャイルドバードは、
その昔、ヨーロッパの貴族が建てた西洋建築の別荘で、
この物語の時点では、家具つきのアパートとして貸し出されている物件。
名前はホテルだけど、アパートです。
ここの住人は、変人ばかりが集まることで有名。
彼らは彼らなりの問題を抱えているけれど、
それぞれに干渉することも殆どなく、
世間の「フツー」とは違う時間や世界で「フツー」に生きています。
これは、そんな日常なのか非日常なのか謎の姿を描く物語。

今回は全3話。
第1話「人魚姫になるための間違った方法」は、
初めてこのホテルの住人でない人が主人公な物語。
キーパーソンは、中学生時代のキズナ。
あとはヘレンさんも大活躍(?)。
全体の流れとアップダウンが巧く、
まとまりもいい、思春期なお話。

第2話「ザリガニ/万引き/スケッチブック」は、
浅井有生と井上由起の、過去のお話。
前半と後半に分かれています。
有生の右手と由起のザリガニ、そして前巻のエピソードで
ちらっと登場した「結婚」な話も織り交ぜて、
贅沢なストーリー。有生たちの底辺に漂っているところは、
基本的にはカスタム・チャイルドの主人公と同じものかも。

第3話「彼女と彼の気まずい日曜、彼女と彼女?のハプニングな土曜」は
まあ、ご想像の通り。ちらっとヘレンさんも登場!?
読みどころは最初の2P、サンダースおじさんの事件とか(笑)。

著者も言っているように、全体に井上由起出没率高しな第2巻。
こういう展開というか、エピソードの選び方でくるとは!
…とちょっと驚きつつ、しっかりはまっているから凄いです。
「またこれかー」とか「王道だよねー」という部分もありつつ、
最終的には「あー、面白かった」で終われるからまあいいか、で。
次巻もすでに発行されていますので、読むのがとても楽しみです。



菜の花の一押しキャラ…衛藤 キズナ 「自分で自分のことを変だってわかってる人は、      自分で思ってるよりは意外と普通の人なんじゃない?」 (衛藤 キズナ)
主人公 : 衛藤 キズナ ほか
語り口 : 3人称
ジャンル : 小説一般
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 淡々と、フツーじゃないフツーの日常
結 末 : 一話ごとにオチ、悲喜こもごも
イラスト : テクノサマタ

文章・描写 : ★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★+
独 自 性 : ★★+★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★+
壁井ユカコの著作リスト よみもののきろくTOP
もっと古い記録   よみもののきろくTOPへ  もっと新しい記録