よみもののきろく

(2008年3月…438-443) 中段は20字紹介。価格は本体価格(税別)。 もっと古い記録   よみもののきろくTOPへ  もっと新しい記録
2008年3月の総評
今月の読了冊数は6です。
内訳は長編4、ライトノベル2。
何だか小説な月。
コンプ計画中の著者の読了数は森博嗣1、椹野道流1、高里椎奈1、結城光流1です。

2008年2月の菜の花的ベストは…。

 「黒いトランク」              鮎川哲也 (評定4.5)

「黒いトランク」はミステリの大御所・鮎川哲也の傑作長編。
1956年に初刊行された、鮎川氏の実質的なデビュー作です。
黒いトランク詰めの死体が鉄道の小口貨物で送られてくる…という、
事件ですが、多くの人々に評価される、ポピュラーな一作です。


以下、高評価順(同評価の場合は読了日順)に簡単に作品紹介します。

 「犯人に告ぐ」               雫井脩介 (評定4.0)

「犯人に告ぐ」は雫井脩介の話題作。
連続児童殺害事件において、微妙な過去をもつ警視が
テレビに登場して「劇場型捜査」を行なう…というもの。
煽り文句よりずっと、重い物語です。
社会派ミステリ好きにオススメ、でしょうか。


 「キラレ×キラレ」             森 博嗣 (評点3.5)

「キラレ×キラレ」は森博嗣のXシリーズ第2作。
満員電車内で、気付かないうちに
ナイフのようなもので襲われるという切り裂き事件が発生。
簡単には割り切れない複雑な心境が読みどころ。


 「貴族探偵エドワード 琥珀の扉をひらくもの」椹野道流 (評点3.0)
 「少年陰陽師 嘆きの雨を薙ぎ払え」     結城光流 (評点3.0)

「貴族探偵エドワード 琥珀の扉をひらくもの」はその名の通り、
椹野道流の貴族探偵エドワードシリーズの1作で、第5巻にあたります。
今回はエドワードの旧友で発明家のアルヴィンが、
血染めのベストを残して行方不明になる!という
大変な事件が発生。次巻に続きますので、気になる方は
次の「瑠璃の涙を流すもの」をご用意下さい。

「嘆きの雨を薙ぎ払え」は結城光流のライトノベルで、
少年陰陽師シリーズ第18巻。珂神編の4冊目です。
荒魂も蘇ってしまい、何とか還す方法を探そうとするのですが…。
もうすぐ佳境、といったところ。


 「草原の勇者 フェンネル大陸真勇伝」    高里椎奈  (評点2.5)

「草原の勇者」は高里椎奈の新シリーズ。
革命が合法化されている国・リムナンテス。
その内乱に否応なく巻き込まれているフェン・テオ・サチ…。
「フェンネル大陸偽王伝」の後継の第1弾です。


以上、今月の読書の俯瞰でした。







438. 「黒いトランク」     鮎川 哲也
2008.03.01 長編 429P 629円 1956年7月講談社
2002年1月発行
光文社文庫 ★★★★+
日本の本格推理小説の歴史に名を残す、傑作


【100字紹介】
 東京・汐留駅に届いた大型トランクの中から腐乱死体が発見される。
 容疑のかかった送付主だったが…。真犯人が構築した
 純度100%の難事件に、鬼貫警部が挑む。
 初刊の内容で文庫版に復刻、解説、トリック詳解付き。


古い作品です。
もはや古典と言ってもいいかも…と、思わなくもないくらい。
まあ…まだ著者が亡くなって10年もたっていないのですから、
それはさすがに言いすぎか。でも凄いです。
最初に出たのが1956年。50年以上前。
長編を単行本で刊行することがまだ難しかったその当時、
講談社では有名推理作家12名にそれぞれ書き下ろし長編を書いてもらい、
単行本として発行する計画をたてたのです。そして13巻まで出すことに…。
この「13番目の椅子」を一般公募、激戦の末に審査員だった江戸川乱歩の一声で、
鮎川哲也の本作が当選、そして発刊されたのでした。
それまでにも別名義で色々と作品を発表していた鮎川氏でしたが、
本作が実質的なデビュー作、といえるようです。

舞台は1949年。色々と今とは違います。
まだ終戦からそれほど時もたっていませんし、雰囲気が大分違います。
でも、だからと言ってこの作品はその魅力をちっとも失っていないのです。
そこが凄い。本当に凄い作品には賞味期限など存在しないのだ、
ということがよく分かります。

事件の発端は、鉄道の小口貨物で九州から東京に送られてきた黒いトランク、
誰も受取人が現れないのですが何だか不審な臭いがするということで、
警察が呼ばれ、あけてみると…何と男性の腐乱死体が…!というもの。
勿論、受取人は架空の人物でしたが、差出人が実在の人物で、
当然のように疑われるわけです。
しかし九州のその怪しい人物が今度は瀬戸内海で…。

視点は最初、東京で死体発見に立ち会った大隅巡査の後を追い、
次に所轄愛宕署の銀原警部、
そして容疑者の住む福岡県赤松署の担当梅田警部補…と受け渡されていき、
最終的に事件関係者と縁の深い鬼貫警部が登場し、
これまでの人々が調べ、築き上げてきた事件像を引き継いで
更なる捜査と推理を積み上げていきます。

この捜査と推理が、素敵なのです。
最近の軽いミステリとは全然違いますよー。
名探偵が、証拠を幾つか集めて出し惜しみして最後にばーんと
推理ショーを行ないます的な、「ショー」タイプでもありません。
天才的なひらめきで発想の飛躍をしながら、
アクロバティックな論理を展開したりもしません。
ひとつひとつの積み重ね。
新しい事実が出てきた時点で、うーん、と考えてみる。
考えていて「もしかして…」という事実が、次の事実を積み上げたとき、
あっという間に一転して何の意味もないものになってしまったり、
一度捨てられたと思った説と、無意味だと思った事実が急遽クローズアップされ、
あ、こっちだったか!?…になったり。紆余曲折。
また逆転か、今度はそっちか、と鬼貫警部と一緒にああでもない、
こうでもないと事件の中を歩き回ることが出来ます。

付録に時刻表がついていたり、路線図がついていたりで
思いっきりパズラーが喜びそうな趣向。
これが、50年以上前に書かれた作品なのかー…と、
思わず嘆息してしまいますね。


復刻ということもあり、付録も満載です。
著者本人の回顧的あとがきが2つ、
それに編集者によるエッセイ、推理小説研究家による解説、
作家による鑑賞に、更にトリックの図解まで!

書誌的な事実も載っています。これまでの10回にも及ぶ出版と、
それぞれでどのような改稿がなされたのか、
章タイトルの変遷一覧も。うーん、マニアック。

実は菜の花、これが鮎川哲也氏の初読みでした。
有名ですし、特に「黒いトランク」は名作として色々なところで
推薦されていたのでいつか読もうとは思っていたのですが、
確かにこれは薦められるだけのことはあるなあ、という感じ。
ミステリ好きなら、おさえておくべき1冊ですね。
ただし、逆に言えばミステリがそれほど好きでない人だと、
ちょっときついかなーと感じる可能性はありますが。



菜の花の一押しキャラ…特になし 「要するに人間てやつは、環境にアダプトするようにできているんだ」 (蟻川 愛吉)
主人公 : 鬼貫警部
語り口 : 三人称
ジャンル : ミステリ
対 象 : 一般向け
 (特にミステリファン向け)
雰囲気 : 重厚、ハウダニット
結 末 : 解決
カバー画 : 武田 史子
カバーデザイン : 櫻舎
エッセイ : 原田 裕(ゆたか)
解 説 : 山前 譲
鑑 賞 : 芦辺 拓

文章・描写 : ★★★+
展開・結末 : ★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★+
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439. 「キラレ×キラレ」     森 博嗣
2008.03.02 長編 288P 880円 2007年9月発行 講談社ノベルス ★★★+
Xシリーズ第2作。電車での切り裂き魔事件


【100字紹介】
 三十代の女性が満員の電車内でナイフのようなもので襲われる事件が連続。
 探偵の鷹知祐一朗と小川令子は、被害者が同じクリニックに通っている
 事実をつきとめるが、その矢先新たな切り裂き魔事件が…]シリーズ第2作


Xシリーズの第2作。
第1作と同じメンバーでお送りします、と。
主人公格には椙田の事務所の所員の小川令子、
主要キャラとして同じ事務所で留守番を引き受けている美大生の真鍋瞬一と、
第1作の事件で知り合った探偵の鷹知祐一朗。
事務所の所長である椙田泰男もまあ、メインというのか。

前作では何ともトラディショナルな舞台や小道具のキーワードを採用でしたが、
今回はいきなり現代風に。電車での切り裂き魔にカウンセリングのクリニック。
あまりにも前作とのギャップが激しくて、面白いですね。
同じメンバーでここまで違う事件をやってくれるのは、
色々楽しめてお得な感じです。世界観にこだわりすぎないのがいいですね。
またそれらの舞台が不自然ではなく、キャラがとけこめているのが素敵。


全体に、小川令子の簡単には割り切れない複雑な心境が横たわっていて、
そこら辺に沢山落ちているライトノベルとか漫画やアニメとは、
やはり違うよね、小説だよね、という感あり。
安易な作品では、誰かが好きとか嫌いとか、
キャラとキャラの感情をとりあえず記号化して、
分かりやすい立ち位置を用意しておく、というのがよくありますが、
そういうものではない、という意味で。
そもそも人間って割り切れない思いを抱えているものですからね、
そういう意味では子どもっぽい作品ではない、わけですが、
にも関わらず何となくどこか軽い。ちょっと不思議ですが。
つまりリアリティに欠けるというわけでもないのに
(実際に、こういう人いそうとか、こういうことありそうとは思うのに)
何となくフィクションらしさが漂っていて現実と混同する恐れはなさそうとか
(これは別に、褒めているわけでも貶しているわけでもなく、
菜の花がそのように感じるという事実を述べているだけですが)、
あまり深く考えずにさくっと読めるとか、まあそういう点で。


最後にまたあの人、登場。
でも、ちょっとイメージが違うので、もしかしたら菜の花の勘違いか?
また騙されるとか嫌ですね。



菜の花の一押しキャラ…特になし 「気をつけて」                「はい」                   「自分の思い込みに、気をつけろ、ということ」 「ありがとうございます」           (椙田 泰男、小川 令子)
主人公 : 小川令子
語り口 : 3人称
ジャンル : ミステリ
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 現代的な事件
結 末 : 解決
ブックデザイン : 熊谷 博人・釜津典之
カバーデザイン : 坂野 公一(welle disign)
フォントディレクション : 紺野 慎一(凸版印刷)

文章・描写 : ★★★+
展開・結末 : ★★★+
キャラクタ : ★★★+
独自性 : ★★★★★
読後感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★+
よみもののきろくTOP 森博嗣の著作リスト
440. 「貴族探偵エドワード 琥珀の扉をひらくもの」     椹野 道流
2008.03.09 ライトノベル 222P 457円 2007年6月発行 角川ビーンズ文庫 ★★★★★
英国風ミステリアス・ストーリー第5幕

【100字紹介】
 三拍子揃った私立探偵エドワードは、守り役シーヴァ、
 霊感少年トーヤとともに「暇が取り柄」ながら、
 楽しく暮らしている。そんなある日、
 友人の発明家アルヴィンが血染めのベストを残して行方不明に…
 シリーズ第5巻


シリーズ第5巻です。
主人公は貴族のお坊ちゃんでありながら
趣味に走っていきなり私立探偵になったエドワード。
容姿端麗、頭脳明晰、家柄最高で三拍子揃っているけど、
結構ワガママお坊ちゃん。
そんなエドワードを支える守り役の青年シーヴァ。
助手見習いの霊感をもつ少年トーヤ。
エドワードの学生時代からの友人で発明家のアルヴィン。
それに彼らの住むロンドラ市警のプライス警部補がメインキャラですが…、
今回はこれに新たなキャラが追加投入されました。
著者曰く、「どかんと上がってしまった平均年齢を下げるべく」
放り込んだとのことでありますが…確かに下がった…(笑)。
でも前半で大活躍(?)のパーカーさん(アルヴィンの執事)が、
余裕で平均年齢かさ上げ中ですよ!!(まあ、メインキャラではないですが。)
外見では下げるのに、実質大幅かさ上げの某キャラも新登場です。

そして全然出てこないアルヴィン…。
執事のパーカーさんが頑張っているというのに!
無事なのか!?大丈夫なのか!?生きているのか!?

更に「あの人」まで登場してきてラストは大変なことに…。

今回はこれで完結ではなく、思いっきり「次巻に続く」です。
先が気になって眠れないよ!…な方は、次のお話を用意してからどうぞ!


菜の花の一押しキャラ…ジェイド 「そんなわけはないだろう、と言った。うちは暇が取り柄の探偵事務所だぞ」 (エドワード・H・グラッドストーン) 何か新しい仕事は入っているのか?と訊かれて。
主人公 : エドワード・H・グラッドストーン
語り口 : 3人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト
雰囲気 : オカルト・ミステリ
結 末 : 次巻に続く
イラストレーション : ひだかなみ

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
椹野道流の著作リスト よみもののきろくTOP
441. 「犯人に告ぐ」     雫井 脩介
2008.03.22 長編 367P 1600円 2004年7月発行 双葉社 ★★★★
連続児童殺害事件にて劇場型捜査が始まる!

【100字紹介】
 手詰まりのまま1年が経とうとする連続児童殺害事件。
 打開策は警察史上初の「劇場型捜査」。
 主役として、6年前にマスコミの餌食となった巻島警視が再びテレビに登場。
 犯人を、表舞台に引き上げることはできるのか?


何年か前の話題作です。

物語の冒頭は、巻島警視の追想のような形でスタート。
メインの事件の6年前の児童誘拐事件です。
この事件において、巻島警視はとんでもない状況に巻き込まれ、
そしてマスコミ相手に大変なことに…。

6年後の現在。世間の耳目を集めた連続児童殺害事件は、
もうすぐ1年というのに、手詰まりのまま。
このままでは迷宮入りしてしまう危険すら漂い始めたところ、
再び表舞台に連れ出された巻島警視。
彼に与えられたのは、警察史上初の「劇場型捜査」。
夜のニュース番組へ捜査官として出演しながら、
新たな証拠を求めて、犯人との対話を試みていきます。
そこに絡んでくる、マスコミの視聴率争いやら、
私情と公の仕事との狭間で最大限の利益を生み出そうとする輩やら、
スタンドプレイの目立つ捜査官に苛立ちを隠せない捜査員たちやら…。
迷走する捜査。一体、どうなってしまうのか!?
そして、「あの事件」は今?

そんな物語です。


帯は「犯人よ、今夜は震えて眠れ」ということだったので、
結構さっくり事件は解決する、比較的安易なミステリで、
悪は必ず滅びる!というすっきりした物語なのだろうか…、
その割には分厚いな…と思っていたら、大間違いでした。

重い!。
何というか、このリアリティが重いです。
いるいるいるよ、こんな人!…というのが沢山出てきて。
あー、何でそんなことするんだー!!!ということをやりまくり。
…でも、それぞれが自分がこの立場なら、言うでしょ、これは!、
切れるでしょ、そりゃ!…でもそれを確かに受け手になったら
こういう風にとるよね、ああとるさ…、みたいな。

何というかですね、どこにでもありそうなことなのです、
こちらから見たらどうしようもなかった、
でもあちらから見たらそりゃやりきれない、
ひとつのことなのに、どの立ち位置で、何が分かった状態で見ているかで、
こんなにも人の考え方って違ってしまう。

現実の事件・事故でも幾らでもあることなのです。
(さっきもそんなニュースを見て、それへの色々な種類のコメントも見て、
何だかなー、と思ったところなのです。何てタイムリー。)
それをうまく俎上に載せ、はらはらさせて読ませる物語に仕立て、
ちゃんと落としどころに落とす。
そのリアリティゆえに、途中で読み進めるのに気が重くなりましたけれども、
読みきらないとそれはそれで気にかかってしまうし、いやはや。


薦めるなら、社会派ミステリ好きの人でしょうか。
読み始めたら、一気に読む方が気分よく読書できるかと思います。



菜の花の一押しキャラ…津田 「人を叩き過ぎちゃあ、いかんのです…」           振り返ると、津田が後ろ手を組んで佇んでいた。        「叩けば誰でも痛いんですよ…」               夜空を見ながら独り言のように言う。             「痛そうじゃないから痛くないんだろうと思ったら大間違いだ…  それは単にその人が我慢してるだけですからな」      
主人公 : 巻島 史彦
語り口 : 3人称
ジャンル : ミステリ
対 象 : 一般向け
雰囲気 : リアル系
結 末 : 解決
装 幀 : 岩瀬 聡
カバー写真 : アライテツヤ

文章・描写 : ★★★★
展開・結末 : ★★★★+
キャラクタ : ★★★★
独 自 性 : ★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★
よみもののきろくTOP
442. 「少年陰陽師 嘆きの雨を薙ぎ払え」     結城 光流
2008.03.23 ライトノベル 250P 476円 2007年2月発行 角川ビーンズ文庫 ★★★★★
安倍晴明の孫昌浩の活躍!シリーズ第18巻


【100字紹介】
 時は平安。14歳の昌浩は、稀代の陰陽師・安倍晴明の末の孫。
 昌浩の必死さが通じた比古は、九流一族の悲願が蘇らせた荒魂を
 還す方法を探そうと真鉄たちのもとへ向かうが…
 古の神の国・出雲を舞台にした珂神編第4弾


珂神編第4弾、シリーズとしては第18巻です。
今回は都に置き去りだからあんまり絡まないだろう、と思っていた彰子は、
前巻から結構、重要な役回りです。
特に、今回は彰子、風音、勾陣など女性陣が頑張ってますよね。
というか、誰が主役とかなくて、もはや混在という感じ。
色々な人の色々なエピソードがページを繰るごとに
どんどん出てきますからねー。
こういうところが、とてもアニメ的だと思う菜の花です。
少年陰陽師シリーズってアニメに元々向いていたんだなあって。
アニメ化した影響で、原作の方がそういう方向性に…、
という可能性もありますけれども。
実際、このシリーズの感じは、最初の頃に比べて、
小説らしさよりアニメ寄りになりつつあるようにも思います。

さて、そろそろ珂神編も佳境、でしょうか。
これ、どう落とし込んでいくのか、気になるところです。



菜の花の一押しキャラ…安倍 昌浩 「誰かがいてくれるの、て…。すごく、大事なことだ」(安倍 昌浩)
主人公 : 安倍 昌浩
語り口 : 3人称
ジャンル : ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 歴史オカルト
結 末 : 続く
イラスト : あさぎ桜
デザイン : micro fish

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
結城光流の著作リスト よみもののきろくTOP
443. 「草原の勇者 フェンネル大陸真勇伝」     高里 椎奈
2008.03.29 長編 266P 880円 2008年1月発行 講談社ノベルス ★★+★★
新シリーズ開幕!フェンたちの新たなる旅路

【100字紹介】
 国王の悪政が人を石に変える呪いを呼び、
 民衆が死の恐怖にあえぐ国リムナンテス。
 傭兵として強制的に巻き込まれたフェン・テオ・サチだが、
 その敵は思わぬ者たちで…。
 国を追われた元王女フェンの新たな物語第1弾。


フェンネル大陸シリーズ、偽王伝が全7作で終わり、
新たなるシリーズとして「真勇伝」として帰ってきました!
偽王の次は真勇かー。一体、どんな勇者が登場するのか?

…と思ったら、またも「?」と。
いや、もしかしたらあれですか?、
でももしかして違いますか?みたいな。
偽王伝のときも、偽王が出てくるまで何作もかかりましたからねえ。
今回も、もしかしたら最後の最後で登場…だったりして?


新シリーズは、フェン・テオ・サチが港町にいるところから。
これから船旅、というときに、
強制的にリムナンテスの内乱に巻き込まれていきます。
まあ、フェンの場合は、勝手に飛び込んでますが。
仕方ないなあ、少年誌的キャラは(笑)。

リムナンテスは革命の国。革命が合法化されているというみょーな国です。
そして今、この国は荒れに荒れている…。そんな国に飛び込んで、
フェンたちは怒涛のような事態に巻き込まれていきます。

今回は1冊でリムナンテスの1件は終わりました。
凄い、まさかあのペースで終わるとは思わなかったですよ。
ちょっと都合よすぎじゃないか!?という気も、
しなくもなかったですけれど、まとめちゃいましたね。
意外性も随所に出しながら。
(意外性を狙っている風なのが、ちょっと気にはなりましたけれども。)

そしてラストにあの人の目的が明らかに…。
きっとこの目的が、シリーズを引っ張っていくに違いない、
と思いつつ、次回作を待ちましょう。



菜の花の一押しキャラ…サチ 「貴方を許します」(ベリス)
主人公 : フェンベルク
語り口 : 3人称
ジャンル : ファンタジー
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 王道ファンタジー
結 末 : まあハッピーエンド
イラスト : ミギー
ブックデザイン : 熊谷 博人・釜津 典之
カバーデザイン : 斉藤 昭 (Veia)
地図製作 : 白髭 徹

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★+★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★+★★
よみもののきろくTOP 高里椎奈の著作リスト
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