よみもののきろく

(2006年11月…316-320) 中段は20字ブックトーク。価格は本体価格(税別)。 もっと古い記録   よみもののきろくTOPへ  もっと新しい記録
2006年11月の総評
今月の読了冊数は5。少ない…。
内訳は長・中編4冊、その他1冊。
コンプ計画中の著者の読了数は、森博嗣2冊と時雨沢恵一2冊。
うーん、偏り読書の上、数が少ない…。あまり良くない読み手です。

2006年11月の菜の花的ベストは…該当なし。

以下、高評価順(同評価の場合は読了日順)に簡単に作品紹介します。

 「アリソン」            時雨沢 恵一 (評点3.5)
 「成功する読書日記」        鹿島 茂   (評点3.5)

「アリソン」は、時雨沢恵一の新シリーズ第1作。
「キノ」シリーズと同じ著者&イラストレータが、
底抜けに明るいキャラを、世界戦争というちょっと暗い舞台に放り込んで、
料理するライトノベルです。ラストはやや甘いかもしれませんが、
かなりのハイレベルのエンターテイメント性を有しています。
とにかく元気なのが素敵な作品。

「成功する読書日記」は、一般書。
読書力とは書くことで身に付く!という主張のもと、
どうやって読書日記を書いていったらいいか、
およびその実例を紹介しています。
もっと本に親しみたい人に。


 「ダウン・ツ・ヘヴン」       森 博嗣  (評点3.0)
 「τになるまで待って」       森 博嗣  (評点3.0)
 「アリソンII」           時雨沢 恵一(評点3.0)
  
「ダウン・ツ・ヘヴン」は森博嗣のスカイクロラシリーズ第3作。
戦闘機乗りの物語。SF的な世界観ですが、近未来かもしれません。
物語冒頭でいきなり戦闘。そのあと戦闘がラストシーンまで出てこないという、
このシリーズにしては大変珍しい構成です。
しかし、全編を貫いているのは「それでも飛びたい」という気持ちでしょうか。
凪いだ海に表面は静かな作品です。

「τになるまで待って」は、森博嗣のGシリーズ第3作。
森林の中に佇立する、超能力者・神居静哉の別荘で起こる、
不可解な密室殺人事件。クローズド・サークルものです。
探偵役は久々に帰ってきた犀川せんせと、海月君でした。
同じ部屋を使って2通りの密室が提示されるという面白い趣向の作品です。

「アリソンII」は、時雨沢恵一のアリソンシリーズ第2作。
上でもすでに登場している「アリソン」の続編です。
前作の活躍により、世界戦争が終結したあとの世界が舞台。
設定自体は決して明るくないのですが、
元気いっぱい、好きなように物語の中を駆け回っている
主人公達を見ていると、元気になれるお話です。


以上、今月の読書の俯瞰でした。








316. 「ダウン・ツ・ヘヴン- Down to Heaven」     森 博嗣
2006.11.02 長編 320P 1800円 2005年6月発行 中央公論新社 ★★★★★
「スカイ・クロラ」シリーズ、静かな第3弾


【100字紹介】
 シリーズ第3弾。飛ぶために生まれてきた僕は、
  今日も空で戦う。何故?何のために?
  それはきっと、地上が汚れているから。
  子供のまま永遠を生きる僕は、
  綺麗な大空で死に場所を求め、
  でも必ず地上に帰ってくるのだ… (100字)


ミステリ作家と一般的には認知されている森博嗣が、
新境地を拓いた「スカイ・クロラ」「ナ・バ・テア」に続くシリーズ第3弾。
内容の時期的には「ナ・バ・テア」→「ダウン・ツ・ヘヴン」→「スカイ・クロラ」です。

SF的な世界観ですが、近未来かもしれません。
ただし一般の世界は、現在の現実と殆ど変わらないかも。
ここに「戦争をする会社」と「キルドレ」というものが介入しているだけです。
そしてSFというには「サイエンス」としては「フィクション」的な技術が登場する、
というわけでもないので、あくまでSF的ではありますが、SFではないですね。
メカニカル・ファンタジーといったところでしょうか。


※以降、前2作で明かされている設定などの記述があります。
 ストーリーそのもののネタばれはありませんが、
 既作をまっさらで読みたい方は飛ばして下さいね。

この世界では、戦争は一般人はしないものになっています。
従来型の戦争によって、甚大な被害が出ることを十分に学び、
それでも戦争をしないではいられない人類というものに気付き、
「戦争をする会社」ができました。
この会社が戦争を請け負っているのですね。
でも、この社員が普通の人間だと、やはり人道的にどうなのか?
という議論が巻き起こってしまうわけです。
そこで登場したのが「キルドレ」という存在でした。
彼らは、永遠に子供のまま。老化して、死んでいくことがない存在です。
これが唯一の「サイエンス・フィクション」に当たるかも。
彼らは、母体からの影響による一種のミュータントのようです。
この辺りは既作の方にもう少し説明があったはず。
本作では言葉しか出てきません。
…って、1・2作既読の方ならご存知なわけで、
頑張って書く必要もないことですか。


では、本作のことを。
今回は「ナ・バ・テア」のそのまま続編と見てよいかと思います。
主人公は変わらず草薙の姐さんですし、整備工の笹倉も再び出演。
あとは、前作で登場したキャラの弟なんかも出演ですし、
上司の甲斐も主要人物として登場?
それから、前作で最重要人物だったあの人も登場…。

物語冒頭でいきなり戦闘。
そのあと、戦闘はラストシーンまで出てこないという、
このシリーズにしては大変珍しい構成です。
売りが戦闘シーンといっても過言ではないと、菜の花が思うからですが。
物語の殆どは、主人公・草薙の戦闘以外のこと、
夢であったり、過去であったり、戦闘以外の仕事であったりに費やされます。
しかし、全編を貫いているのは「それでも飛びたい」という気持ちでしょうか。
ずっと地上にいるこの主人公は、どこまでも空だけを見ている感じです。
だからいつも、どこか浮世離れしているというか、
一般的なところがないというか…さすがキルドレといったところか。


全体としては、今作より前作、前作より前々作、の方が佳作だと感じました。
やや平坦とも思えるくらい、静かなもので。
ただ、静かさの中にも、強い思いがあるんですよね。
そう、凪いだ海のようです。表面は静か。
でも、下では海流が流れ、水流がうねっているのかもしれません。

ご興味を持たれた方は、是非前作と前々作を先にお読みになることをお勧めします。



菜の花の一押しキャラ…笹倉 「クサナギ、しっかりしろ!」(笹倉)
主人公 : 草薙 水素(くさなぎ すいと)
語り口 : 1人称
ジャンル : 異世界ファンタジー
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 暗め、飛行機、マニアック
表紙写真 : Michael Edwards
ブックデザイン : 鈴木成一デザイン室

文章・描写 : ★★★+
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★+
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
よみもののきろくTOP 森博嗣の著作リスト
317. 「アリソン」     時雨沢 恵一
2006.11.07 長編 366P 610円 2002年3月発行 メディアワークス
電撃文庫
★★★+
戦争を終わらせる宝を求めて、2人は戦う!


【100字紹介】
 その世界で唯一つだけある巨大大陸は、
  東西連邦に分かれて戦争を繰り返していた。
  東側連邦に暮らす17歳の学生ヴィルと軍人アリソンは、
  「戦争を終わらすことのできる宝」のありかを語る
  老人を目の前で誘拐されて…


さて、「キノのシリーズ」の著者とイラストレータによる、
新しい長編シリーズです。
キノとはまったく違うテイストの異世界ファンタジー。

主人公は17歳の優秀な学生の少年と、
はちゃめちゃで元気いっぱいの空軍の少女。
そんな2人が町外れで出会ったのは、ほら吹きで有名な老人。
かつてある王家で執事をしていたとか、ダイヤモンド鉱山を持っているとか、
鉄鋼業界で財を成した大富豪だとか、首都大学の学長をしていたとか、
豪華客船の船長をしていたとか、著名な作家だったとか…。
そんな彼がときどきつく嘘が「凄い宝」の話。
その「宝」は戦争を終わらせるほどの価値ある宝だという…。

この世界では、世界はたったひとつの大陸から成っていて、
その大陸の中心は南北に越えがたい山脈と大河が流れていて、
不完全に独立しているという設定。東西にはそれぞれを憎みあい、
戦争を続けている大連邦が1つずつ。
「凄い宝」は、この東西の戦争を終わらせることができるほどのものだと、
老人はいうのですが…、何といきなり主人公達の前から誘拐されてしまう!?
宝は嘘なのか、本当なのか?誘拐犯は一体何者なのか?
そして彼らの運命は…!?

…という、とっても賑やかな異世界ファンタジーです。
まとまりもなかなかよく、キャラクタがとにかく明るい。
戦争を扱っているせいもあり、ストーリーは必ずしも、
底抜けに愉快なものではないのですが、このキャラたちが、
それぞれ自分の精一杯で動き回っているのを見ていると、
作品全体がとにかく明るく、元気がいいという印象を受けます。

ラストは、やや甘いのではないかなーという気もしますが、
ライト・ノベルとしてはかなりのハイ・レベルのエンターテイメント性を
有していると感じました。とにかく元気なのがいいですね。

続編はアリソンU、アリソンV(上)(下)、これで完結です。
一体どんな続編なのか、かなり気になりますね。
本作自体は、ちゃんと完結します。
というか、続編があるという方に驚きかも?
きっと次作でも、元気いっぱいに跳ね回る主人公達が見られるのでしょう。
楽しみ。



菜の花の一押しキャラ…ヴィル 「ああ、行ってこい。楽しんでこい。俺のことは忘れていい」(ヴィルの友人)
主人公 : ヴィルヘルム・シュルツ
 アリソン・ウィッティングストン
語り口 : 3人称
ジャンル : 異世界ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 賑やかな
結 末 : ハッピー・エンド
イラスト : 黒星 紅白

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★+
キャラクタ : ★★★+
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★+

総合評価 : ★★★+
よみもののきろくTOP 時雨沢恵一の著作リスト
318. 「成功する読書日記」     鹿島 茂
2006.11.17 一般 338P 1429円 2002年10月発行 文藝春秋 ★★★+
読書日記成功の秘訣は?読書力は記録から!


【100字紹介】
 読書力とは書くことで身に付く!
  成功する読書日記のための入門書。
  量をこなし、とにかく読み終わるという確固たる意思を持ち、
  的確な引用を出来るようになれば、もっと本に親しめる!
  実践編では著者の読書日記を披露


成功する読書日記。
まさに菜の花のためにあるような本!?と、思わず手に取りました。
これは読まずにはいられないというナイス・タイトル。

全体は大きく「入門編」と「実践編」に分かれていて、
「実践編」の中にワン・ポイント・アドバイス的な小話が入ります。
「入門編」が普通のハウツー本的な部分。
一方、「実践編」では著者の実際の「読書日記」が続きます。
というか、それだけで構成されています。

入門編の内容は、殆ど【100字紹介】にご紹介の通り。
量をこなすことは重要、という話から始まり、
著者の体験を交えながらの読書日記入門。
量をこなし、とにかく書き続けるとやがて「コレクション魂」が芽生え、
それが質をあげることに繋がる、ということが最初の話題ですが、
もうここからして菜の花、「うわ、菜の花を見て書いたのか!?」と
思わず周りをきょろきょろ見回してしまいそうでした。
何て鋭い洞察…いや、この気持ちの動きというのは、
読書日記をつける誰もが通る道なのか!と。そうか、これは普通のことなのか。
質が上がったかどうかは謎ですが、ある程度系統だって
(菜の花の場合は、作家ごとに系統だちつつ、なるべく広げる方向で)
読書をしようと思えてくるんですよねー。
で、肝心の日記の書きはじめですが。
最初からいきなり書くのは大変だから、まずは引用から、と勧めています。
なるほどねー。いきなり批評なんて大それたことは…とのこと。
巧い引用は難しく、的確な引用が出来るようになると、もう上級者のようです。
確かに、その本の特徴を端的に表す引用、だなんて、
中学校や高校の国語のテストみたいですね。
そういえば、そういう問題、よく出たっけ。
でもこれが出来ることは、読書日記上級者=読書家ということで、
実はあのテスト問題ではかっていたのは、読書度だったのですね!
…なんて思ってみたり。

そして、飛ばし読みでも何でもOK、とにかく最後まで読み通せ、
ということを推奨しています。確かに、冒頭部分を幾ら読みこんでいても、
最後まで行き着かないのでは、きっと理解は正しくない。納得。

このように、概ね入門編は納得のいくものでした。
あれに従うと菜の花のこのはちゃめちゃな読書日記は、
思いっきりずぶの素人っぽい上に、著者がつけない方がいいと言った
「変な癖」が出まくりのものかも…。も…もう少し何とか…今更無理か。

「実践編」では著者の文章が。さすが本職。
凄く自然に、さらりと「読書日記」が展開されます。
うわ、絶対こんなレベルには達せないよ!
でも大丈夫。別に批評家を目指すわけではない菜の花は、
「無理せず」「量をこなす」のが当面の目標ということで…、
って、もうすでに実践しているような。じゃ、この次は的確な引用…かな。
推奨されている★で評価する方式はすでに取り入れてますし。
そう考えると、基本的なスタート地点は、それほど悪くなかったのか、菜の花。

巻末には「読書日記帳」と題した簡易読書日記用フォーマットあり。
もう菜の花では満足できない!?初心者向けかもしれませんが。
もしもあなたがまだ「読書日記」をつけていらっしゃらないなら…、
この本を読んで、菜の花と始めませんか?更なる読書のための、読書日記を。



テーマ : 読書日記
語り口 : 1人称的
ジャンル : 一般書
対 象 : 一般〜読書好き向け
雰囲気 : 難しそうな文学の話あり
 ややアダルト要素もあり
装丁 : 坂田 政則

文章・描写 : ★★★+
展開・結末 : ★★★★★
簡 潔 性 : ★★★+
独 自 性 : ★★★+
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★+
よみもののきろくTOP
319. 「τになるまで待って」     森 博嗣
2006.11.23 長編 308P 900円 2005年9月発行 講談社ノベルス ★★★+
Gシリーズ第3作。超能力者の密室殺人事件


【100字紹介】
 森林の中に佇立する、超能力者・神居静哉の別荘【伽羅離館】。
  この洋館に7名の人物が訪れる。
  神居が「異界マジック」を見せてくれた後…
  雷鳴、閉ざされた扉、繋がらない電話、
  そして事件が密室で…。シリーズ第3作 (100字)


「Φは壊れたね」「θは遊んでくれたよ」に続き、
ギリシア文字がタイトルに入る「Gシリーズ」の第3作です。


探偵役は久々に帰ってきた犀川せんせと、
妙にもったいぶって話さない嫌な奴、海月君。
この2人、キャラがかぶりすぎなので、
一緒に登場するとちょっと微妙な。
まあ、こういう人種は1人だけの特殊な例ではないよ、と
(十分特殊ですが)いうことでしょうか。

前作は珍しく密室物からやや離れていましたが、
(無関係ではありませんでしたが)
今回はまた元に戻ってもう、ばりっばり正統派の、密室物。
しかも2重の密室です。
同じ部屋で、しかも接近した時間で、
同じように密室が作られましたが、
それら2つにはなんら関係性がなく、まったく別物なのです。
つまり、同じ部屋を使って2通りの密室が提示されたのですね。
なかなか面白い趣向です。
作家さんによっては「お、このネタ使えば2作書ける」
と分けちゃうかもしれません。
まあ…1つ1つでは長編を書けるほどのインパクトがないかも。
2つ一緒にきたから「お!」と目新しかったのかもしれない…、
うん、そうかも。単体だったら「えー」と不満が残った可能性大。
つまり、廃案寸前かもしれないトリックを、
タッグで使って見事に仕上げた感ありですね。

悪くはない新本格系統の1作。
ただし続き物的な部分も多々ありますので、
なるべくS&Mシリーズを読んでからのチャレンジがお勧め。
Vシリーズも抑えてあればなお可。




菜の花の一押しキャラ…国枝 桃子 殆ど出てませんけどね…。 「あ、海月君、登場?口から火を噴いて、ドアを突き破ってよ」 (加部谷 恵美)
主人公 : 加部谷 恵美、西之園萌絵他
語り口 : 3人称
ジャンル : ミステリ
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 新本格系
結 末 : 決着、ただし少し続く感
ブックデザイン : 熊谷 博人・釜津典之
カバーデザイン : 坂野 公一(welle disign)
フォントディレクション : 紺野 慎一(凸版印刷)

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★+
キャラクタ : ★★★★★
独自性 : ★★★★★
読後感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
よみもののきろくTOP 森博嗣の著作リスト
320. 「アリソンU」     時雨沢 恵一
2006.11.29 長編 366P 610円 2003年3月発行 メディアワークス
電撃文庫
★★★★★
冬季研修旅行がある国の運命を変える旅に?


【100字紹介】
 東西連邦の戦争が終結した世界で、
  ある山国が独立運動を繰り広げていた…。
  10年前に敬愛する王室一家を失ったその国に
  冬季研修旅行にやってきた学生ヴィルと、
  合流した軍人アリソン。国外れの村で監禁されて…!?


アリソンのシリーズ第2弾です。
地球上ですらない異世界ファンタジー。
以降は、前作のネタバレも含みますので、未読の方はご用心。

世界はたったひとつの大陸から成っていて、
その大陸の中心は南北に越えがたい山脈と大河が流れていて、
不完全に独立しているという設定。
東西にはそれぞれを憎みあい、戦争を続けていた大連邦が1つずつ。

主人公の東の連邦に住む17歳の優秀な学生の少年ヴィルと、
同じく東の連邦の、はちゃめちゃで元気いっぱいの空軍の少女アリソンは、
前作で好奇心から、この世界に平和をもたらすことに成功。
ただしその功績はすべて、西側の空軍少佐・カー・ベネディクトに
「押し付けて」しまいました。

今作ではすっかり有名人になってしまったカー少佐と、
普段と変わらない生活を続けているアリソンとヴィルの新しい冒険。

今度の舞台は東側の山中にある小国。
この国は代々、国中の人間に敬愛されてきた王室が治めてきましたが、
10年ほど前に王宮の火事により、王室は全滅。
この国に冬季研修でやってきたヴィルの目の前に現れたのは…アリソン!
しかもカーとの久し振りの再会、そして新しい事件の始まり。
前回は、目の前で老人誘拐でしたが、
今回は何と、本人達が監禁!?一体、この村の秘密とは何!?
そしてカーの出会った人物とは!?

…まあ、ありそうな感じですか?
この手の楽しい系ファンタジーでは王道でしょうか。
設定は必ずしも明るいばかりではないのですが、
キャラがとにかく明るいのがこの作品の魅力。
異世界のファンタジーであり、現実味がないのもまた
エンターテイメントとしては最高。
色々と設定・進行上、甘いのでは?と思う部分が多いのですが、
いいよいいよ、そんなこと。面白ければそれでいいじゃん、と。
元気いっぱい、好きなように物語の中を駆け回っている
主人公達を見ていると、元気になれるお話です。


ところでヴィルの友人は…名前が出てきませんが、かなりいい味で出してますね。
色々と設定もあるようですし、密やかな期待キャラ!?



菜の花の一押しキャラ…ヴィル 「しっかし暇だねー。私達も」  「言うな」 (謎の女&謎の男)
主人公 : ヴィルヘルム・シュルツ
 アリソン・ウィッティングストン
語り口 : 3人称
ジャンル : 異世界ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト向け
雰囲気 : 賑やかな
結 末 : ハッピー・エンド
イラスト : 黒星 紅白

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★+
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★+

総合評価 : ★★★★★
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