よみもののきろく

(2006年4月…255-261) 中段は20字ブックトーク。価格は本体価格(税別)。 もっと古い記録   よみもののきろくTOPへ  もっと新しい記録
2006年4月の総評
今月の読了冊数は7。
長編2冊、短編2冊、その他3冊でした。
コンプ計画中の著者の読了数は
椹野道流1冊、森博嗣2冊、高里椎奈1冊で、全体の半分。
やはり就職して最初の月。少なめ読了数です。

さて、では少ない中から菜の花的2006年4月のベストを…選べませんでした。
やっぱり駄目かー。いや、今回はある意味、粒揃いですね。
評価が殆ど団子です。同点が多すぎる!
ということで、以下、評価順に簡単に紹介するに留めます。
(同評価の場合は読了日順)

 「暗い宿」            有栖川有栖  (評点3.5)
 「新版 図書館の発見」      前川 恒雄 他 (評点3.5)
 「数奇にして有限のよい終末を」  森 博嗣   (評点3.5)
 「亜愛一郎の狼狽」        泡坂 妻夫  (評点3.5)
 「工作少年の日々」        森 博嗣   (評点3.5)

「暗い宿」は、火村&アリスシリーズの連作短編集。
タイトル通り「宿」がキーワードの新本格ミステリ4編。
やはりタイトル通り、エンディングが「暗い」印象なので、
菜の花の好みにより評定は低めですが、
短編とは思えないほどのどっしりとした読み応えのある作品群。

「新版 図書館の発見」は、あの日野市立図書館長を勤められた前川恒雄氏と、
石井敦氏の著作です。これからの図書館のあり方について、
過去・現在を踏まえた上で語る作品です。図書館学の教科書的ですが、
一般の方でも十分分かり易く、一般教養書としても読めます。

「数奇にして有限のよい終末を」 は、森博嗣のオンライン日記を取りまとめた第5弾。
そして最終章でもあります。毎日の日記、著者の主義主張がそうそう変わるわけでもなく
まんねりと言ってもいいはずなのに、何故か読みやめることは出来ない、
不思議な魅力のある作品です。

「亜愛一郎の狼狽」は泡坂妻夫による亜愛一郎三部作の第2作。
容姿は二枚目、立居振舞は三枚目のカメラマン・亜愛一郎が主人公。
ゆったりとして古きよき時代を想起させる、
古典系ミステリの連作短編集です。

「工作少年の日々」は森博嗣のノンジャンル・エッセイ集。
文章は軽く、分量もそれほど多くないので、
比較的あっさりと読めますが、森博嗣節満載。
森博嗣のあの考え方が好き!という人にはお勧め。


 「堕天使奇談」         椹野 道流 (評点3.0)

「堕天使奇談」は、椹野道流の「奇談シリーズ」の第25作。
ちょっとBL入った、オカルトライトノベル。
シリーズ中で進行している「十牛図」からは離れた1作完結もの。
連続する若者の突然死の共通点は、同じ図案の1枚の栞。
ミステリ風味のどきどきを楽しめます。


 「蝉の羽 薬屋探偵妖綺談」   高里 椎奈 (評点2.5)

「蝉の羽」は「薬屋探偵」シリーズの第10作。
講談社ノベルスから出ている、オカルトミステリのライトノベル。
出入り不能の山村での擬似密室風・連続殺人事件…という、
ミステリ色の強いオカルトノベルですが、
同時にファンタジー的でもあり、軽いけどちょっと重い、
不思議な感じの作品です。



以上、今月の読書の俯瞰でした。








255. 「堕天使奇談」     椹野 道流
2006.04.06 長編 238P 520円 2006年1月発行 講談社X文庫ホワイトハート ★★★★★
突然死した若者達の持ち物に同じ柄の栞が…


【100字紹介】
 天本と龍村は、読書中の女性が突然死する場に居合わせた。
  本の中には奇妙な栞が…。龍村は監察医の間で噂の、
  近頃の若者の突然死の急増に不審を抱く。
  前後して前後して河合の知人が死に、
  遺品から同じ図案の栞が…! (100字)


椹野道流の「奇談シリーズ」の第25作。
(CDブック3作品を除く。)
10代女性向けのライトノベルシリーズです。

今回は1作完結もの。
最近シリーズ中で進行している「十牛図」からは離れて、
これ1作で収束するお話です。

少し前の作品から天本家に滞在中の龍村先生ですが、
本作でもまだまだ滞在中です。あと何作いられるのかな?
というか、彼は蓄えが結構あるのですね。
1年もお仕事休んで放電していてもOKなくらいに。

最初の事件は、天本&龍村が遭遇。
2つ目の事件はすっかりレギュラーメンバーにおさまった
司野&正路が遭遇。
そしてもうひとつの事件があり、その依頼は河合から…。

オールスターでお送りします!な1冊というわけです。
連続する若者の突然死の共通点は1枚の栞。
栞に描かれているのは4つの羽と顔を持つ、
どこか禍々しい人に似た生き物の図案。
これは一体何なのか?
ちょっとミステリっぽいどきどき感を楽しんで下さい。





菜の花の一押しキャラ…龍村 泰彦 「実はね、ちょっと下僕サミットを開催してたんだ」 (足達 正路)
主人公 : 天本 森、琴平 敏生
語り口 : 3人称
ジャンル : オカルト・ライトノベル
対 象 : ヤングアダルト
雰囲気 : オカルト、ややBL
イラスト : あかま日砂紀
結 末 : 一件落着。

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★★★
椹野道流の著作リスト よみもののきろくTOP
256. 「蝉の羽 薬屋探偵妖綺談」     高里 椎奈
2006.04.08 長編 262P 820円 2003年8月発行 講談社ノベルス ★★+★★
遺体に植物が?山村での連続事件の謎を追う

【100字紹介】
 植物に取り憑かれたかのような、不可解な遺体。
  閉ざされつつある山村で連続して起こる
  事件の真犯人は?妖の仕業か、それとも…。
  真相を突き止めるべく依頼を受けた秋、座木、リベザル。
  薬屋三人組のシリーズ第10作 (100字)


高里椎奈の「薬屋探偵」シリーズの第10作です。

年代が出てきました。計算すると2022年らしいです。
でもこれがシリーズ全部同じ年代か?というと謎。
特に、高遠たちが登場するものと、同じかというのは
彼らの登場のときにはっきりしていないので、
何ともいえません。今後に期待ですね。


連続殺人事件です。
このシリーズはオカルトノベルながら、
事件の様相はいかにも本格ミステリ風な感じで、大変楽しげであります。
しかも今回の事件ときたら、擬似密室風。
山村で、外部からの進入が不自由ときたら、
もうまるっきりミステリじゃないですか!
でも、オカルトノベルですから。お忘れなく。
あとで怒ってはいけません。
でも、どんでん返しな感じはまさにミステリです。

今回は珍しく、シリーズ中の他の作品で最も多く使われる手法、
2手(または3組)に分かれてそれぞれが独立して事件に迫り、
最後に合流型ではありません。いや、ある種分かれてますけど、
真相に迫ったのは結局、秋たちの組だけということです。
座木が早いうちに戦線離脱してしまったことが大きいのでしょうか。
いつもとやや展開が違い、新鮮かもしれません。

ただ、少し展開が強引かな、という気持ちが残りました。
心理描写の理屈っぽさがまだ気になるかも。
しかし人の心の機微や、動きは女性らしく細やかですね。

オカルトノベルで、ミステリ風で、ファンタジー的でもあり、
軽いけど、ちょっと重くて。
そんな不思議な感じが楽しみたい方に。







菜の花の一押しキャラ…紫陽花 「顔に出すなら口に出せ。口にしないなら顔に出すなと言っている」 (深山木 秋)
主人公 : 深山木 秋
語り口 : 3人称
ジャンル : オカルトミステリ
対 象 : ヤングアダルト寄り
雰囲気 : ライトノベル、ミステリ色あり
結 末 : 一件落着、やや哀しい
ブックデザイン : 熊谷 博人
カバーイラスト : 斉藤 昭 (Veia)

文章・描写 : ★★+★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★+★★
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257. 「暗い宿」     有栖川 有栖
2006.4.13 短編集 318P 552円 2001年1月角川書店
2003年10月発行
角川文庫 ★★★+
様々な「宿」の難事件に火村&有栖川が挑む


【100字紹介】
 廃業した民宿の奇妙な一夜、
  南国のリゾートホテルでのミステリー・ツアー、
  冬の温泉旅館の奇妙な客、
  都心の瀟洒な名ホテルに泊まったロックスター…
  様々な「宿」で起こる難事件に
  火村&有栖川が挑む、短編ミステリ集 (100字)


●収録作品一覧
-----------------------------
・暗い宿
・ホテル・ラフレシア
・異形の客
・201号室の災厄
-----------------------------

有栖川有栖の短編集は、何かしらテーマがあることが多い気がします。
本作は「宿」がキーワード。

表題作「暗い宿」では、廃業した民宿での一夜が、
事件に関わると気付いた有栖川有栖が、
積極的に事件に関わっていきます。

「ホテル・ラフレシア」は、南の島のリゾートホテルでひらかれた
犯人当てゲーム「トロピカル・ミステリー・ナイト」に
有栖が専門家として(?)招待されて展開します。
同伴者は編集の片桐さん(ファンならおなじみですね?)と、何故か火村。
かたや片桐さんは一生懸命、犯人当てゲームに取り組み、
かたや火村助教授は、ゆったりとお昼寝。
物語は、犯人当てゲーム+火村が巻き込まれる小さな事件の
2本立てになったちょっと贅沢なお話。

「異形の客」では一転、冬の温泉宿。
投宿していた有栖は、顔に包帯を巻いたあやしい客に出会い、
そしてそのお客が…。早速呼ばれた火村とともに、事件を追います。

「201号室の災厄」は火村が主人公なお話。
有栖は冒頭に登場しますが、途中からは3人称に切り替わり。
図らずも事件に巻き込まれた火村は…。

それぞれが魅力的で、短編とは思えないほど、
どっしりとした読み応えのある、盛りだくさんな内容。
これはなかなかお買い得かも!?という感じです。
評定がちょっと低めなのは、ラストが菜の花の苦手な
比較的アンハッピーエンドな感じなので。
まあ、短編ですからこうなりますね。


解説は、書評家・川出正樹氏(すみません、菜の花は知りません)の
有栖川有栖の全作品を語りつくすかのような、
気合いの入った文章です。




主人公 : 有栖川 有栖
語り口 : 1人称
ジャンル : ミステリ
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 新本格系ミステリ
結 末 : 1話完結、ややアンハッピー
カバー : 大路 浩実
解 説 : 川出 正樹

文章・描写 : ★★★+
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★+
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★+
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258. 「新版 図書館の発見」     前川 恒雄・石井 敦
2006.4.16 図書館学 238P 920円 2006年1月発行 日本放送協会出版 ★★★+
これからの図書館は、いかにあるべきか?


【100字紹介】
 今、図書館にはかつてない壁が立塞がり、
  その基本をも揺るがせようとしている。
  図書館人たる著者たちが、図書館の意義を語り、
  豊富な実例を歴史的、また現代の動向として提示し、
  未来を考える道筋を示す問題提起の書 (100字)


旧版「図書館の発見」が全面改稿された新版です。
メインの著者は前川恒雄氏、少しでも図書館学を修めた方なら、
知らない人はいない有名人でしょう。
あの日野市立図書館の館長を勤めた方、と言えば、
まず思い出して頂けることかと思います。

内容的にはいわゆる「図書館学概論」あたりの講義で
教科書として取り上げられそうなところです。
薄さの割に内容はたっぷり詰め込まれた感じ。

第一章「現代の図書館」で、最近の図書館の発展の概略などを提示、
第二章「図書館は何をするところか」では図書館サービスの概略を
要領よくまとめています。第三章は選書の話、第四章は分館などの話、
第五章で司書制度の話を持ってきて、図書館の人的問題を浮き彫りにします。
特に、非専門職員、非常勤職員、アルバイトなどの多用など、
最近ホットな問題であります。これらについて語られます。
第六章「図書館の歩み」では、日本の図書館史を駆け抜けます。
この章に最もページがさかれており、
全体の約35%で試行錯誤の日本図書館界の模索を紹介しています。

そして最終の第七章で「これからの図書館」。
さて、ではこれからどうしていこうか?という
問題提起をしていきます。答えは、あったりなかったり。
それは、読者自身が考え、実践していくべきことなのでしょう。

非常にオーソドックスな考えと、恐ろしく先進的な意見が混在する本書。
日本の図書館界の模索と発展とともにあった人らしい、著作だと思います。
特に、第六章の図書館史では実際にリアルタイムで体験してきた人の
生々しさというか、「教科書的」というだけではない、
生きた文章で綴られています。
幾つかの意見に勇気付けられ、引き締まる思いにさせられました。

例えば、第七章「これからの図書館」の中の「出版と図書館」で
1)図書館は本の売れゆきの邪魔をしているか
2)貸出し批判は当たっているか
などは、大いに悩まされる問題かと思っていたのですが、
さらりと回答を与えてくれました。
言われてみれば、ああ、確かに、と思わされる内容です。
これについて興味があれば、是非本書を手にとってみて下さい。


図書館学初学者だけでなく、一般の方の読み物としても
十分、分かり易い内容だと思います。





テーマ : 図書館
語り口 : 説明文
ジャンル : 図書館学
対 象 : 一般〜図書館人向け
雰囲気 : 講義風

文章・描写 : ★★★+
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★★★
独 自 性 : ★★★+
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★+
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259. 「数奇にして有限のよい終末を」     森 博嗣
2006.04.23 エッセイ 620P 1900円 2004年4月発行 幻冬舎 ★★★+
森博嗣の日常を知る日記本、第5弾!


【100字紹介】
 ネットで森博嗣が毎日欠かさずに書いた日記を、
  ほぼそのまま収録したI Say Essay Everydayシリーズ
  第5弾、最終章!独特の思考と、趣味語りなど、
  まるごと森博嗣を楽しもう。
  ミニ写真もたっぷり収録。 (100字)


元々、サイトに公開されていた日記を1年分、
そのまま、まるごと本にしているシリーズ。
それだけだと商品価値がないので
(何しろサイトで読めば同じものがタダで閲覧できる訳ですから)
会話形式の脚注がプラスされています。
ちなみに、サイトで公開していた日記を本にすることの短所については
第1作「すべてがEになる」の森博嗣自身のまえがきに詳しいです。


森博嗣は何年か前から、2001年でこの日記の公開は終了する、
と宣言していて、実際に最終回を迎えてしまったのであります。
ということで、2001年の日記収録の本書が、
このシリーズの最終作品となるわけですね。

シリーズと言っても、とにかく日記なのですから、
そうそう内容が変わるようなものではありません。
実際に森博嗣の生活は基本的なことは変わっていないし、
でも毎日少しずつ違っていきます。まさに生きている感じ。

はっきり言って、内容的には「まんねり」のはずなのに、
でも何だか読んでしまう。読まずにはいられない。
それは日記の中に、森博嗣という人生が詰まっているから、
かもしれません。人生というのは淡々として、
でも刻一刻と変化していて、まさにこういうものなんだな、
と再確認する自分がいます。

とにかく分厚くて、広辞苑もびっくりなシリーズなので、
途中で何度も、いつになったら読み終わるんだ!
いい加減、飽きてきたぞ!と、思ったりもするのですが、
何故かやめられないのです。中毒性があるのかも?

この本を読むのをやめるのは、何か淋しい。
でも、本シリーズはこれで最後。
そう、これでお別れですね。
次は、別のところで森博嗣を探しましょう。
何となく、見たくなる人なのです、この著者は。




主人公 : (森 博嗣!?)
語り口 : 当然、1人称
ジャンル : エッセイ(日記)
対 象 : 主にファン対象
雰囲気 : 淡々とした日々!?
カバーイラスト : 萩尾 望都
ブックデザイン : 鈴木成一デザイン室

文 章 : ★★★★★
描 写 : ★★★★★
展 開 : ★★★★★
独自性 : ★★★★
読後感 : ★★★+

総合評価 : ★★★+
よみもののきろくTOP 森博嗣の著作リスト
260. 「亜愛一郎の転倒」     泡坂 妻夫
2006.04.25 連作短編 342P 600円 1982年角川書店
1997年6月発行
創元推理文庫 ★★★+
連作短編ミステリ・亜愛一郎3部作第2作


【100字紹介】
 色白で端正な顔立ち、身につけるものから足の爪先まで
  ビシッと決めた優男。ところが何か行動を起こすや
  忽ちズッコケる。容姿は二枚目、立居振舞は三枚目という
  カメラマン亜愛一郎が出会う
  軽いノリの連作短編ミステリ (100字)


●収録作品一覧
-----------------------------
第1話 藁の猫
第2話 砂蛾家の消失
第3話 珠洲子の装い
第4話 意外な遺骸
第5話 ねじれた帽子
第6話 争う四巨頭
第7話 三郎町路上
第8話 病人に刃物
-----------------------------


さて、泡坂妻夫のデビュー作「DL2号機事件」を含む
「亜愛一郎の狼狽」に続く、亜愛一郎連作短編の第2集です。

クラシカルな推理小説の雰囲気を踏襲した前作から
引き続き、ゆったりした時間の流れる
あの古きよき時代?を思い起こされる古典系ミステリ。
ただし、前作よりも亜愛一郎、絶好調!?
もっともっと砕けたようなお話が多いです。
というか、非現実的に輪をかけたような…?
思わず「それはないだろ!」と突っ込みを入れたくなること必至。
でも面白い。なんだそりゃ!と思いつつ、
この世界ならま、いっか!と許せるような。
亜愛一郎というのはそういうキャラなのです。

ちなみに主人公・亜 愛一郎(あ・あいいちろう)のことを
もう一度、書きますと。
容姿端麗・頭脳明晰・長身でお洒落にキメた青年カメラマン…
なのに、運動神経はまるでなしで何だか情けなーいという、
現在ではそれなりにお約束?かもしれないけれど、
とても魅力的なキャラであります。

解説はあの田中芳樹。
この人にここまで言わせるか、泡坂妻夫!
…と思わず嘆息してみました。
田中芳樹のキャラがこういうものだったとは、
ちょっと意外です(そっち?)。


軽い気持ちで軽いミステリを読みたい方へ。




菜の花の一押しキャラ…亜 愛一郎 「あんたプロだべ」 (北湯の音造)
主人公 : 亜 愛一郎
語り口 : 3人称
ジャンル : ミステリ
対 象 : 一般向け
雰囲気 : パズル的要素有、のんびり
結 末 : 1話1事件
解 説 : 田中 芳樹
カバーイラスト : 松尾 かおる
カバーデザイン : 小倉 敏夫

文章・描写 : ★★★★★
展開・結末 : ★★★★★
キャラクタ : ★★★+
独 自 性 : ★★★★★
読 後 感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★+
よみもののきろくTOP
261. 「工作少年の日々」     森 博嗣
2006.04.28 エッセイ 238P 1500円 2004年7月発行 集英社 ★★★+
森博嗣初のノンジャンル・エッセイ集


【100字紹介】
 小説「すばる」に連載された、
  森博嗣初のノンジャンル・エッセイをまとめたもの。
  工作のこと、小説のこと、鉄道模型のこと、
  生活のこと、過去の思い出、ときには教育論?まで!
  森博嗣節満載の、言いたい放題エッセイ (100字)


非常に「らしい」エッセイです。
まあ「らしくない」エッセイというのも
なかなか考えにくいのですが。
テーマの縛りは特になく、月刊誌に連載されたエッセイです。
毎回、ゆるいテーマのようなものはありますが、
とにかく横道・脱線が多いのです。
それでも鉄道模型ファンか!というくらいでして。
謎のジョークで道なき道を突き進む、
「森博嗣」節満載のエッセイです。

主張することや、過去のことは、
日記などの本作以外の作品となんら矛盾することなく、
確かにそこに著者の「存在」が感じられます。
確か、日記本では時は移り、周りは変わるけど、
ただひとつ、自分だけは変わらない、
というようなことを記していましたが、確かに。
森博嗣は、いつまでも森博嗣みたいです。

文章は軽く、分量もそれほど多くないので、
比較的あっさりと読めるエッセイです。
気軽に手にとれる作品かと。





主人公 : (森 博嗣!?)
語り口 : 当然、1人称
ジャンル : エッセイ
対 象 : 一般向け
雰囲気 : 言いたい放題好き勝手
イラスト : 森 博嗣
装丁・レイアウト : 松田 行正

文 章 : ★★★★★
描 写 : ★★★★★
展 開 : ★★★★★
独自性 : ★★★+
読後感 : ★★★★★

総合評価 : ★★★+
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