よみもののきろく

(2004年11月…063-075) 中段は20字ブックトーク。 もっと古い記録   よみもののきろくTOPへ  もっと新しい記録
063. 「鬼道の女王 卑弥呼(上)」     黒岩 重吾
2004.11.02 長編 336P 1996年11月発行 文藝春秋 ★★★★★
邪馬台国の伝説の女王卑弥呼を描く歴史長編


さて、黒岩先生の本としては2作目の拝読となります。
今回は誰もが知っている超有名人物・伝説の女王さま卑弥呼の物語。
上下巻ですが、とりあえず上巻だけ読み終わりました。
下巻は明日借りに行きます。
とりあえず上巻だけでもまとめちゃおうね。
でもブックトークは両方そろわないと無理かいな。

ってゆーか、感想も無理な気がする。。。


でもまー書いちゃいますよ。はい。


さて、上巻冒頭ではまだ卑弥呼、生まれてません。
ってゆーか卑弥呼じゃないんだね。

ヒメミコト→ヒメミコ→ヒミコ

と変遷している、という説をとってますね。
元は姫尊(ヒメミコト)。説といえば、この本は
とても「歴史のほんとのところ」を意識しているのだ、
というのが分かります。
あちこちに文献を引用したり、考察した文章が出てくるんですね。
歴史考証というか…。
何というか、小説というより考証本とか、
教育用の歴史の教科書を面白く書こうとしたみたいな。
そんな感じ。こんな教科書だったら大歓迎!だけどね。

ここまでのところは、色々な出来事がある訳で、
やっぱり大変に物語は波乱万丈に動いているのですが、
いまいち、がーっと盛り上がらないんですな。
どこか平坦。何故。何故だ。
物語がこれだけ揺れ動いているのに。

ひとつの原因としては、心理描写の少なさ、が挙げられるかも。
古い小説だとよくあること。特に古典文学では。
日本古来の文学とは、事実関係を述べるものであって、
心理描写はあまりはっきりとは書かれないんですよね。
それは自明のことであるから、ということなのか、
奥ゆかしく文章の端々に散りばめられているのを
想像力によって読者本人が組み立てるべきものなのだ、
ということなのかは知りませんが。
少なくとも古典文学は、漫然と読んでいては面白くもなんともない
という、なかなか頭を使うものなのですよね。
でもこの場合は、面白くないのは読者側の能力の欠如ってことで
読者が悪い!って訳ですよね…。
そうか、この本が物足りないのは菜の花のせいか。
しまった!読み込みの甘さがばれてしまったか。

しかし最近の小説ってのは親切だよねえ。
心理描写がしっかりしててさー。
何にも考えないでも、すすーっと頭に入ってくるように作られてる。
これだから、想像力がだんだん欠如した人間が増えてくるのかしら。
漫画でよく、そういうことを言われるけど、小説も実際、
そういう風に変化してきたんじゃないかなあと思ったりもするのです。

でも、古典文学ってやっぱいいんだよね。
親切じゃなくってもさ!
それだけ、想像の余地があるんだから。ねえ。




菜の花の一押しキャラ…ヒミコ びみょー。 よみもののきろくTOP
064. 「月は幽咽のデバイス The Sound Walks When the Moon Talks」     森 博嗣
2004.11.04 長編 281P 2000年1月発行 講談社 ★★★★★
狼男が住むという噂の豪邸の密室で死体が?

さて、保呂草・練無・紅子・紫子のシリーズ第3弾。
前回に引き続き登場の森川君も、仲間になった模様。


【40字ブックトーク】
狼男が住むという噂の豪邸で、
床は水に濡れ硝子が散らばる密室に、血まみれ死体が!? (40字)


【100字ブックトーク】
月夜邸という豪邸には、狼男が住むという
奇妙な噂が囁かれていた。
その邸内で血まみれ死体が発見される!
密室状況の室内は、
何故か床が水に濡れ硝子の欠片が散らばっていた。
瀬在丸紅子が指摘する意外なる真相とは? (100字)


ええと、まずはミステリとして。
この作者は本当にミステリを書く気があるのか?
と、思わず疑ってしまった…。そしてちらちらと本を見直してみる。
もしかしたら、これはミステリじゃないのかもしれない。
私が勝手にミステリだと思っているだけで、
本当はそんな表示なんかないかもしれない。

…。
……。
………ある。背表紙に。

「森ミステリィの華麗なる展開」
ううむ。やっぱりミステリを名乗るのか、この作品は。
それはそれで致し方ない。

何がそんなに不満かって、ミステリ仕立てではあるけど、
100%ミステリを描こうとしているようには到底思えないってところ。
確かに宮部みゆきとかもそういう傾向がある。気がする。
ミステリっぽいけど、本当は人情話が書きたいんじゃないかなあとか、
そういうところがある。それを批判する批評家もいるし、
ミステリの新たな可能性として評価する人もいる。
どちらも、心情的にはよく分かる。

森氏もそういうミステリの新たな世界を模索したいのかもしれない。
だけどさ、それって作品として…ミステリとして、そして
新しく目指す方向性の作品として、の両方の意味で…
ある程度の完成度がないと志向できない道じゃないのかなあ。
まあ、つまりは毒舌ながら一言で言わせて頂きますと、
この作品はミステリとしては1流ではないし、
展開していこうとする新しい方向性は、何だかよく分からないけど
読んで面白いとか、すごいとか思うところが殆どない…
わー、ごめんなさい、森ファンの皆様、物は投げないで下され。
いやいやいや、別にね、森博嗣が
ダイキライとか、そういうわけじゃなくってさ。
純粋に評価としてですね…。
大体、嫌いだったらここまでの全作品を読み倒す訳がない。
森先生を敬愛している(?)からこその毒舌ですよ。ええ。多分。


まあ、いいや。次いきまーす。
トリックというか真相に関して。
ああ、そうなんですか。
何というか、これって犯罪?
犯罪なんでしょうか?それとも単なる偶然?
というか、一番の罪人って、主人公じゃないのか?
そうい趣向はそれなりに面白い訳ですが。
しかし1冊かかってこの程度の真相、というのは
ちょっと物足りない。また重複して言っちゃうけど、
ミステリ以外のどーでもいい(芸術ですらない)
薄め液としての役割しか担っていない部分が多すぎる。
シリーズ通して読まないと意味が分からないような、
一元さんお断り、のような排他的な部分も微妙。
うわ、森ファンの皆様、やめてー。
って、しかもちっとも真相に関してじゃないや。
ごめんなさい、ごめんなさい。


これくらいにしとこっと。
うーん、今日は毒吐いたなー。



菜の花の一押しキャラ…小鳥遊 練無 ちゃんと強かったんだね。 「木は十メートルよりも高くならないのよ」 「なるよ」                (瀬在丸親子) 前者が紅子、後者が息子の発言。クールだな、この小学生。 森博嗣の著作リスト よみもののきろくTOP
065. 「夢幻戦記H 総司星雲変(上)」     栗本薫
2004.11.06 続き物 183P 2001年3月発行 ハルキノベルス ★★★★★


前巻からのインターバルが1年以上!…な気がします。
8巻が1999年12月ですから。

さて、今回の巻についてですが、
ちょっと評価というか、まあ菜の花の覚えが変わりました。
まあ、栗本せんせーにとってはこんな一読者の覚えなど
めでたくなろうがなるまいが、大したことじゃないとは思いますけど(^ ^;)。

この巻で何が変わったか?
それは文章が変わった。ということです。
まあ、すべてはこれに尽きる、とも言えますが…。
これまでの巻の文章とは明らかに違っています。
もしかして人が入れ替わったのか?と勘ぐりたくなるくらい、
文章から受ける印象が違っています。
しかも大変に喜ばしいことに、良い方へ変わっております。
これはもしかしたら1年以上というブランクの間に、
栗本薫という作家が成長したのだ、ということを示すのかも?
いや、元々が売れっ子作家なのだから「成長」なんて…とも
思わなくもないですけど、確かに文章の印象は変わっているのですよ。
どう変わったか、といわれると「うーん」と考え込んでしまうのですが…、
一言で言うとソフトになった、というのでしょうか。
これまでそこはかとなく漂っていた押し付けがましさ、みたいなもの…、
妙に説明口調で断定的な印象が一転して、
万人受けしそうな自然な言い回しに変わった…気がします。
多分、文章としてはとても些細な変化なのですが、
それが全体の印象をがらっと変えたように思います。

そしてこの巻の後半部分。
ついに総司の剣が闇に染まる…という内容ですが、
大変にヴィジュアライズだと感じました。
それは菜の花の中ですでにそういう絵が存在しているから
勝手にそう思ってしまう、という危険性もあるのですが…。

前半部分の心理描写もますます細かく、
よく納得でき、共感できるものであります。
よく納得できる、というのは元々なんですが、
素直に心の中に入り込むような…、なんと言うか
これまでは作者がすべてを描いてしまって
それを目の前に絵にされて押し付けられた感が
どこかにあったと菜の花は思うのです。
それが、読者の中に最低限のデータを送り込み、
読者個々人の体験から得られている「常識」という
アプリケーションによって像が構築・再生される…
そういうプロセスが感じられた気がします。
まあ、そんな大袈裟なものじゃないんですけど。

あと、とっても些細なことなんですが、
これまでの巻では一貫して「切る」と使われていた漢字が
「斬る」にすべて変わっていました。
何となく「人を切る」ってすごーく変な感じがしていたのですが
「人を斬る」に変わって大変落ち着きました。
それも変な話なんですけどね(^ ^:::



菜の花の一押しキャラ…沖田 総司 「斬りますよ。いいんですね」 (沖田 総司) 妙にかっこいい気がする。 よみもののきろくTOP
066. 「四季 秋 The Four Seasons - White Autum」     森 博嗣
2004.11.07 長編 273P 2004年1月発行 講談社 ★★★★★
「すべてがFになる」の真の動機とは!?

この話を読んで分かったこと。
この本は「犀川&萌絵」のシリーズと
「保呂草・練無・紅子・紫子」のシリーズの
両方を読まないと完全には意味が分からないってこと。
少なくとも犀川&萌絵の1作目「すべてがFになる」と
10作目「有限と微小のパン」と
「保呂草…(以下略)」の2作目以降のうち1冊…
という最低3冊を読んでおかないと意味不明であること請け合いです。


【100字紹介】
手がかりは孤島の研究所の事件ですでに提示されていた!
犀川創平と、大学院生・西之園萌絵は
真賀田四季の真意を探ろうとする。
彼らが辿り着いた天才の真実とは?
「すべてがFになる」の真の動機を語る衝撃作! (97字)


今回から読む方もこの方がすっきりするかなあ、ということで
100字のみにしてみました。
手間も少しだけ省けた。うん。

この本、今までの実は絡まっていた糸が
初めて見えてきて、それらを解きほぐしていく…という感があります。
この糸が見えるためには、まず基礎知識を共有していないといけないので
この文章の冒頭に示したように、最低でも彼の作品を3作品…、
出来ればここまでの全シリーズを読んでおくのが良いかと思います。
というか、むしろ読んでいない人には全く意味が分かりません。
ある意味、この本はファンブックなのかもしれない。

これまで読んでくれた皆様、ありがとうございます。
実はこうなっていたんですよー、さあ、ご覧!

…って感じ。
いや、本当に「あ、そーなんだ!」って思わず読み耽ってしまった。
糸の提示と、答えの提示の間に適度に間があって
「あれ?もしかして…」
と読者に考える余裕を与えてくれているのが大変、親切。
しかも結構読んでいて愉しい。これはなかなかよい。
まあ、全作品を読まないと行き着けない訳なんで
お勧め度はあんまりあげられないですけど。
まあ、もはや根性だけでここまで読み通してきた身としては
思わぬご褒美に満足です。

ちなみにこれ、絶対ミステリじゃないんで。
本当に…そうですね、ファンブック。まさに。
森ファンの方なら必読です。



菜の花の一押しキャラ…犀川 創平 何と、君でしたか…。 「うん、ときどき、君って、わけのわからないことを言うよね」 (犀川 創平) 会話が成り立っていない、と萌絵に怒られての一言。 森博嗣の著作リスト よみもののきろくTOP
067. 「幽霊刑事(ゆうれいデカ)」     有栖川 有栖
2004.11.09 長編 515P 733円 2002年講談社ノベルス
2003年7月発行
講談社文庫 ★★★★★
射殺された刑事の幽霊が、真犯人を追う!

文庫の割には分厚い一冊。
有栖川有栖氏の御作です。
氏の作品はノリは軽いですがミステリの中でも
いわゆる「本格派」に分類される、ある意味古典系が多いと感じているのですが…、
この作品と来たらタイトルからして、いろものっぽいですね…さて?


【100字紹介】
 俺、神崎達也は刑事。美人のフィアンセを残して
 無念にも射殺された…はずが幽霊に!?
 しかも犯人の上司が密室で何者かに殺された?
 一体、真犯人は誰なんだ!?そして俺の運命は?
 本格ミステリ+切ないラブストーリー (100字)


さて、この作品はタイトルとブックトークを見ても分かりますように
特殊な構造のミステリとなっております。
これまで菜の花の拝読させて頂いた氏の作品が
たまたまなのか本格ものばかりだったので、
そのギャップの大きさには相当驚かされました。
ふざけているのか!?とすら思える、
「幽霊になってしまった刑事」が主人公だという本作。
最初は非現実で、遠い存在にしか感じられない主人公が
次第に読者に寄り添ってくるというか…むしろ逆ですね、
読者は気づいたら主人公に寄り添ってしまうのです、心情的に。

この作品の「幽霊」のお約束は、誰にも触れない、
殆どの人に姿も見えなければ声も聞こえない、というもの。
「愛の力」とか心情的には許してしまいたい理由であっても
見えないものは見えないぞ、という頑なさは大変素晴らしい。
情に流されない設定であります。
しかも、物に対しても、見るだけで触ることが出来ないから
引き出しを開けて中を覗くことも出来ない、というのも
とてもナイスです。何がナイスなのか?それはですね…
つまり「幽霊」の設定は殆ど「読者」と同じ条件になれ、
ってことなんですよね。
読者というのは、文字で描かれた状況を見ることが出来る訳ですが、
自分で知りたいなあと思ったものを手探りで知ることは出来ない
ものです。つまり、与えられた(制限された)情報のみを入手できると。
しかも「役者」たちに姿を見られることなく
彼らそれぞれを自由に観察することが出来る反面、
彼らに逆に影響を与えることは基本的に出来ない、と。
うーん、まさに読者。だから心情的に寄り添うことが出来るのですね。

この作品は元々、イベントの推理劇の原案を小説にしたものなのだとか。
賞品や賞金がかかった犯人当てゲームだから1度しか上演されなかった
というのは何だか勿体無い話ではあります。
元が犯人あてゲームな訳ですから、大変論理的に組み立てられています。
登場人物それぞれが容疑から外れることには
特に注意を払われているように思いますね。
そこは非論理的では後から非難の嵐ですからね。
つまり、とても綺麗に辻褄が合うように作られていると。

それだけではないのが、また心憎いところ。
この作品のもうひとつの目玉はラブストーリーですね。
心理描写はなかなかのものです。

ついでに幽霊刑事&霊媒体質刑事のやり取りも面白いものでした。
この辺りが軽さなんだよなー。それがまたいい。

全体としては絶対★5つだろ!ってところですが…。
うーん、うーん、うーん、悩ましい〜。
最後はハッピーエンドと言えばハッピーエンド、
感動的ですらありますが…ちょっとだけ残念でなくもない…。
ので、、、うーん。。。限りなく5に近い4…かなあ。
いや、一応、5つで!いっとくか。。。



菜の花の一押しキャラ…早川 篤 何だか漫才のボケ役っぽいのに結構しっかりしているところが素敵。 「また…出た」 (早川 篤) 「俺」を見て一言。ある意味、受難だよねえ。 有栖川有栖著作リスト よみもののきろくTOP
068. 「鬼道の女王 卑弥呼(下)」     黒岩 重吾
2004.11.12 長編 292P 1456円 1996年11月発行 文藝春秋 ★★★★★
邪馬台国の伝説の女王卑弥呼を描く歴史長編


やっと下巻を読みました。
卑弥呼の物語後半戦です。
全体の紹介を先にやっておきましょう。


【100字紹介】
 大陸の倭人の長の娘ヒメミコは、幼くして神の声を聴く巫女。
 九州の地で人々の信仰を一身に集め、
 抜群の政治感覚で倭国を統べる親魏倭王へと突き進んでいく!
 邪馬台国女王卑弥呼の、波乱に満ちた一生を描く古代浪漫! (100字)


で、上下巻の内容ですが、上巻では主にヒメミコの父であり
大陸の倭人を取り纏める長であるミコトが主人公のように登場。
ヒメミコはまだ生まれてすらいない。
で、大陸を引き揚げる頃に童女時代のヒメミコが登場、
最初の奇跡を見せてくれます。九州に渡ってからは
とんとん拍子に人々の信仰を集め…いつの間にか
邪馬台国にはなくてはならないシンボルになっていきます。
上巻ラストで父であり王であるミコトの死が語られ、
邪馬台国の王座争いが示唆され、幕を閉じました。
このとき卑弥呼はまだ10代〜20代。
若く、美しく、柔軟な女性として描かれていました。

下巻では、王座争いが終結し、連合国の盟主として…
卑弥呼は女王として各国から擁立されることになります。
更に東に視野を向け、倭国統一を理想として掲げ、
吉備国にまで足を伸ばし、一目置かれる存在に。
しかし、卑弥呼の上にも老いはやってきます。
若き日に焦がれた唯一の恋人を恋い慕い、
威厳を重んじるが故に民衆から遠のき…。
親しい者たちの死と、孤独感。失われていく能力。
それらの葛藤がヒミコだけでなく、彼女が恋着した
ミチゴメという人物の視線を通しても語られていきます。
後半は前半の若々しく自信に満ちた輝かしさから一転、
寂しい女王の姿が描かれています。


一言で言うと下巻は
「盛者必衰をあらわす」
って感じでしょうか。

上巻のヒメミコは神の声が聴こえ、自信にあふれています。
政治能力も高く、理解力や向学心も旺盛で賢人を傍近くにおき、
様々な知識を得て、柔軟な判断が出来る瑞々しい感性の持ち主です。
民衆に近く接し、民衆のために祈り、故に熱狂的な信者を得ます。

下巻に入り、倭国統一という大きな理想に燃え、
ますます彼女は充実していきます。まるで果実が熟れるように。
しかし、30代に入ってから状況が変わってきます。
ミチゴメへの恋着は、彼女が女王になり威儀を保たなくてはならない、
という要請から、民衆と近く接することがなくなったことからくる
孤独感のせいもある気がします。
ヒミコは民衆の中にあっても元々、孤独だったのかもしれませんが…。
色々なことが思うようにいかなくなってきたのがこの頃。
でも、元からある彼女の能力は衰えたとはいえ、
やはり蓄積というのもがありますから、何とか破綻せず
うまく軌道に乗って親魏倭王という輝かしい地位まで
上り詰めるのですが、このときにはもうすでに
あちこちに綻びがあるのも見て取れるのです。

思うに、ヒミコという女王は大変に優れていたのかもしれませんが
女性であるが故に感情に走るきらいがあり、しかも加齢により
それを抑えきれなくなっていったのが彼女の不幸だったのでしょう。
それでも全てを捨ててひとりの女性に戻ることが出来なかった。
彼女は優れていたが故に、自分で自分の能力に縛られてしまった。
その上に長寿であるが故に老いとまともに向き合うことになった訳で。
能力は優れていたし、それに対する自負もあったし、
自分が何とかしないと、という責任感や
何とかできるだけの能力があるとも信じていたけれど、
心のどこかではきっと、普通の人生…一人の男性を愛し、
その人に愛されて生きたい、という平凡な幸せに
憧れていたんじゃないかなあと菜の花は思うのです。


歴史好き、戦略好きな人には是非一読をお勧めする古代史浪漫です。



菜の花の一押しキャラ…特に無し よみもののきろくTOP
069. 「司馬遼太郎が描いた「新選組」の風景」     司馬遼太郎
2004.11.13 写真集? 127P 1300円 2003年12月発行 新潮社 ★★★★★
司馬遼太郎の文と楽しむ、新撰組ゆかりの地


すごーく悩ましい本です。何がって?
いや、分類が。何に分類するんだ?って。
まあいいでしょう。軽く本の紹介をしておきましょうね。


【100字紹介】
 司馬遼太郎の描いた幕末の勇、新選組。小説「燃えよ剣」
 「新選組血風録」やエッセイなどの抜粋とともに、
 故郷・多摩、血風の京都、鳥羽伏見、終焉の蝦夷地など、
 新撰組ゆかりの地やゆかりの品々の写真を楽しむ一冊。 (100字)


物語の抜粋が、かなりいいとこどり!なので、
新選組(主に土方、それに近藤・沖田)の活躍とをざーっと
復習したい方には相当お勧めです。
カラーページも多く、様々な風景が文章に彩を添えます。
古写真なども多く、かの時代にのめりこむこと受けあい。

ただし、100P程度で多摩から蝦夷まで駆け抜けなくてはならないので
相当の駆け足、ハイライト集となっております。
あまり新選組を知らない方には、事情説明などがそれほど多くはないので
ついていけなくなってしまう恐れはあります。
まあ、「新選組血風録」の1冊でも読んでおく程度の基礎知識でも
十分だとは思います。実際、菜の花も全然詳しくはないですし。
でもこれを読んで、是非「燃えよ剣」は一読しておかねばな!
という気分になって早速借りてきてしまいました。


新選組好きな方は必読です。それ以外の方でも
新選組に興味を持たれたら是非是非一読を。
きっとその歴史的な魅力にとりつかれることでしょう。




070. 「司馬遼太郎全集第六巻 燃えよ剣」     司馬 遼太郎
2004.11.16 長編 534P   1971年9月発行 文藝春秋 ★★★★
組織づくりに賭けた男、土方歳三を描く!


再び登場、司馬遼太郎大先生です。
たまたま借りた図書館には文庫版のようなものはなかったので
重くて硬いハードカバーの全集の1冊を手にとってみました。
うーん、重々しい。うーん、重厚。さて、中身は?


【100字紹介】
 武州多摩の富農の四男として誕生し、新撰組副長として活躍、
 五稜郭にて三十五歳で没した土方歳三が、歴史の変転に
 どのように関わっていったのか?その足取りを明確な筆致で
 浮き彫りにした歴史小説の大家による名作。 (100字)



まず本作はページ数を見て頂ければ分かります通り、大変長いです。
ですが、この長さを感じさせないほどに語り口は軽妙。
だからと言って文章の中身が軽いという訳ではありません。
厳密かつ緻密な史料収集がなされたであろうことは
読み進めていれば歴然です。
この小説は元々、1年半という長期に渡る連載
(昭和37年11月〜昭和39年3月)であったということですが、
物語全体の流れには破綻は勿論のこと、ギャップをあまり感じません。
多摩時代、京都時代、各地への転戦…と幾つかのパートに
全体を分けることが出来るかと思いますが、
それぞれのパートで山場があり、ただただ歴史を羅列しているのではなく
熱く語っているのだ、ということがうかがえます。

人物像も、どんな人間であっても決して完全無欠ではないのだ、
また逆にどんな人間でも完全に悪いところばかりではないのだ、
ということがよく描かれていると思います。


さて、感想です。
名作です、名作。ああ、悲しいなあ。
土方さんの死が悲しいんじゃなくって、他の皆々様が悲しい。
土方さんはやりたい放題やって、死に場所探してサヨウナラだから、
まあ嬉しくはないけど、切ないというほどでもないでしょうか。
でもやっぱり脱落していく…というと何か変なんですけど、
やっぱり志半ば、という感じでストーリーから去っていく面々は悲しいですよね。
沖田、山崎、山南、藤堂、などなどなど。。。

土方さんのラストも勿論、すごく感慨深くはあります。
ここに至るまでに通り過ぎていった沢山のエピソード。
ああ、ひとりの人間の歴史には、こんなにも沢山のことが
書き込まれているのだなあとしみじみと思わされます。


余談ですが、本作が「週刊文春」に連載されていたのと全く同時期に
「竜馬がゆく」の連載もなされています(昭和37年6月〜)。
よく書き分けられるなあ、と驚いてしまいました。
折角なので今度は「竜馬がゆく」を是非読んでみたいと思っております。



菜の花の一押しキャラ…沖田 総司 ただただ沖田が好きなだけですが。 「ひでえ。まるで泥亀だ。これでにゅっとあらわれたら、  先様のほうがびっくりなさるだろう。ねえ、土方さん」 (沖田 総司) 前半部ハイライトの多摩・分倍河原の決闘へいく途中に作戦上、 闇夜にあぜ道を歩き、田んぼに転がり落ちて泥だらけになって一言。 よみもののきろくTOP
071. 「絵のない絵本 アンデルセンの童話4」     大塚 勇三編・訳 I. S. オルセン画
2004.11.17 連作短編 187P 700円 2003年11月発行 福音館文庫 ★★★★★
青年画家に月が語った、美しいお話の数々…


いきなりですが、児童文学です。
公共図書館で検索をかけたら「じどうとしょ」のコーナーにあると出てきたので
借りに行くのに一瞬躊躇してしまった…。
私がいつも行く図書館ってば、児童コーナーがプラスチック張り
(ガラス張りのように見えるけど、あれは多分プラスチックだ!)で
他のコーナーと遮断された閉鎖空間なんですよ。むむ。

読もうと思ったきっかけは、菜の花が所属する吹奏楽団が
次の定期演奏会で本作に取材したというその名もずばり
「絵のない絵本」という曲を演奏することに決まったから、であります。
この曲、大変に良い曲だと思います。
幻想的かつ雄大で、小技も効いた曲なのです。
ではこの元ネタはどんなお話だったんだろう?と期待。


【100字紹介】
 屋根裏に住む貧しい青年画家の元に、幼馴染の月が夜毎
 訪ねてきて、見聞きしたことを話してくれる。
 第1夜から第33夜まで、美しい月光のようなお話の数々…。
 生涯旅を愛したアンデルセン自身の体験と想像力の結晶。 (100字)


もっと平たく言うと、「アンデルセン版・千夜一夜物語」でしょうか。
ただ、千夜一夜物語よりもずっと詩的です。
裏返せば、ストーリー性が乏しいとも言えなくはないですが。
1夜ごとの長さは大変短く、数ページです。
しかも児童向けの文庫サイズの本の数ページですから、
文章量は相当少ないことになります。原稿用紙に1〜3枚といったところでしょうか。
この中にぐっと、描き出したいことを凝縮・結晶化させていると言えます。
元々は第20夜までだったものを後に追加し、最終的に33夜になったそうです。
ということで、あまり順番には意味がないようですね。
実際、個々のお話は完全に独立したものです。


翻訳版ですので元の文章を評することにならないのですが、
この訳者の作品とみなして評価等を書かせて頂きましょう。

文章は基本的には殆ど表面的なことしか書かれていません。
「月」が見たものをそのまま語って聞かせている、
という前提ですから、ある意味当然かもしれません。
すべての話で客観的かつ表面的な視点が貫かれています。
ゆえに登場する人物や事象への主観的な評価は明記されず、
読者が自ら想像し、構築するように促しているように見えます。

本作のお話はどれも行間に隠れた中に大変豊かなバックグラウンドの
物語が潜んでいることが感じられる秀作ではありますが、
多分に詩的なため、それらの意味するところを
しかと受け取れないことが多々あります。
まるで詩を読んでいるような気分です。
しかも困ってしまうことに、
日本人の読者というのは、原作者と文化が異なっているため、
結局どこまで共通の概念が通用するのか?というのが
分からないということです。恐らく、完全には作者の意図通りに
共感し、理解することが出来ないのではないか?と感じました。


ところで「絵のない絵本って、そりゃただの本じゃないのかよ!」
というツッコミをよく聞きますが、「絵のない絵本」には絵があります。
だから、突っ込むなら「看板に偽りあり」といくのが正しいかと存じます。
ついでに言うと、絵本でもないような気がする…。
これを読んで理解できる幼児がいたら結構、驚きなんですが。


しかし、アンデルセンって子供が大好きだったんですね。
そんな気持ちが伝わってくる一冊です。
…子供に理解されるかどうかは別にして。



「…女性よ、もしも詩人が生命の神秘を歌うときには、その竪琴にキスしなさい!」 (第11夜) ちっとも意味が分からないけど、気に入った。 よみもののきろくTOP
072. 「夢・出逢い・魔性 You May Die in My Show」     森 博嗣
2004.11.19 長編 293P 820円 2000年5月発行 講談社 ★★★★★
20年前に死んだ恋人が夢の中で殺人予告?


久し振りに森博嗣です。
そういえば、Vシリーズはやっぱりイニシアルらしいです。
瀬在丸紅子が言うには、彼女のイニシアルはV.Cなんだそうな。
なんじゃそら。ビタミンCっすか?アスコルビン酸ナトリウムっすか?



【100字紹介】
 「夢の中の女に、殺される」…N放送のプロデューサーは、
 20年以上前に死んだ恋人の夢に怯えていた。
 彼の番組に出場する小鳥遊練無たちの前で事件が。
 随所に挿入される犯人の独白、
 そして明かされる意外な犯人! (99字)


上記にもあるように本作では、犯人の独白があちこちで入ります。
それならば犯人が絞りやすいはずではありますが、
この作者はこれまでにも色々と犯人独白パターンを
やってくれていますからね。一筋縄ではいきません。
犯人が多重人格者だったとか、独白が実は2人分だったとか、
愉快で奇抜な仕掛けが多いのです。
まあ…いかにも読者を騙すぜ!って魂胆が見え見えなので
菜の花は個人的には好きではない作風ではあります。

というわけで、今回も疑ってかかるべきでしょう。
まずは、犯人の提示する情報の半分は疑ってしかるべき。
きっと何か、別の解釈があるはずさ!くらいの気持ちで
この作者の作品には取り組むべきです。
いわゆる「本格派」好きなミステリーファンにとって
タブーな技も使われがちですし。
これが一般読者には、かなり受けがいい模様ですが。

だからでしょう、森博嗣といえば大好きな人は大好き、
嫌いな人は大嫌い!…と好みがきっかり分かれがちに見えます。

いや、本作から離れてしまいましたね。


殺人自体としてはそれほど複雑な感じがしませんが、
事件全体はとても魅力的です。犯人の独白が随所に出るため、
リアルタイムで犯罪が進んでいくことが実感できます。
次はどうなるんだ?という予測不能な事態はスリルがあるものです。
ミステリに出てくる犯罪の多くは計画的なもので
(突発事態であっても、犯人はその後の見通しはある程度たてているもので
 それは読者にはリアルタイムではうかがい知れないものである)
「こと」が起こらなければなかなか読者には伝わってこないものです
(犯人視点の作品はもちろん除外しますが)。
その点、この犯人はどうも考え無しっぽくてある意味、新鮮。


もうひとつのお楽しみはやっぱり、練無、TVデビュー!?
…でしょ?こっちのがどちらかというと面白かったりして。


本格を愛さず、タブーをおかすことも厭わず、
でも「ミステリー読んでみたい」人々へお勧めの作品。



菜の花の一押しキャラ…小鳥遊 練無 ってか、気付けよみんな!男か女くらい分かるだろ! 「わあい。ただ飯だ、ただ飯だ!」(小鳥遊 練無) いいなあ。 森博嗣の著作リスト よみもののきろくTOP
073. 「陰陽師 太極ノ巻」     夢枕 獏
2004.11.20 連作短編 255P 1286円 2003年4月発行 講談社 ★★★★★
連作短編の「陰陽師」シリーズ、第6作。


陰陽師シリーズです。久し振りです。
ではでは、一話ごとに簡単な内容と感想をば。

  ●二百六十二匹の黄金虫
	遍照寺の明徳が毎晩寝る前に経を誦していると
	輝く黄金虫が群がってくるという。
	しかしこの虫、捕まえても朝になると消えてしまう。
	不思議に思った露子姫が晴明のもとへやってくる。

	<一言感想>
	久々の露子姫。研究者顔負けの調査・観察に思わず脱帽(笑)。


  ●鬼小槌
	最近、都に猿叫の病という全身が痛むという病が流行っている。
	これに罹患した藤原中将に呼ばれる晴明。
	出掛けようとしたところに蘆屋道満が現れた。

	<一言感想>
	折角なので平氏と藤原氏の繋がりを前半部でもっと
	くっきりと書いてほしかったかと思います。
	落としは劇的な方が楽しゅうございます。


  ●棗坊主(なつめぼうず)
	林の中の祥寿院に、50年前に行方知れずになった
	僧がふらっと帰って来た!?
	僧は北斗と南斗の碁を見ていたのだと話す…。

	<一言感想>
	やっぱりなあ、というストーリーながら、
	飽きもせず読めちゃうんだなあ、これが。


  ●東国より上る人、鬼にあうこと
	晴明と博雅がいつものように縁で酒を飲んでいると、
	一人の男が屋敷に駆け込んできた。
	東国からやってきたこの男は、
	あやかしに追われているという。

	<一言感想>
	晴明殿は、色々面白い手を使うのね。。。
	ただ訳も分からない間にえいや!と調伏が終わってる、
	という状態にせず、どんなことをしたのか?
	が描かれているのがこの作品のいいところ。


  ●覚(さとる)
	白楽天の心情を想いつつ、荒れ果てた道観で
	一杯交わそうと二人の貴族が出掛けたが、
	物見に入った供の者、それに話を聞いて出掛けた
	別の二人の貴族が記憶を失ってしまった…。
	屋敷にいたあやかしの正体は?

	<一言感想>
	結局、晴明殿はなーんにも考えずに座ってただけかい!
	荒れ寺で修業の気分でしょうか。それでどうやって
	「この辺りでもうしゃべっても大丈夫!」を判断するんだろう?
	そのあたり、結構不思議です。


  ●針魔童子
	朱雀大通りで正体不明の虫のようなものに刺される、
	という事件が頻発している。そんな折、晴明に探し物を
	依頼してきた者がいた。虫の正体は?

	<一言感想>
	おお、この童子、只者じゃないぞ。
	ってゆーか、すごいな。こういうのが実在する世界。
	こんな世界観が素敵。




菜の花の一押しキャラ…源 博雅 「他人の碁を見物なぞしておってよいのか。人の一生は短いぞ」(南斗) まったくだ。 よみもののきろくTOP
074. 「レベル7(セブン)」     宮部みゆき
2004.11.22 長編 665P 857円 1990年新潮社
1993年9月発行
新潮文庫 ★★★★
レベル7まで行けば戻れない…緊迫の4日間

久し振りの宮部みゆき様。
最近はずっと別のところに浮気してましたからね。
でも本作は600P超えの超大作。
宮部作品、たっぷり堪能させて頂きました!


【100字紹介】
 レベル7まで行ったら戻れない…謎の言葉を残して
 失踪した女子高生。記憶喪失で目覚めた若い男女の腕には
 「Level7」の文字。少女の行方探索と、彼らの身元捜しの
 二つの追跡行はやがて交錯する。緊迫の4日間。 (100字)


大作でした。
ストーリーは、一見無関係に見える失踪事件と記憶喪失事件。
これらが独立して進行して行きます。
そしてこれが徐々に交錯していく訳です。

記憶喪失事件の方は、記憶喪失くらいはミステリではありがちかもしれませんが、
ここまで不可解な状況は類をみないかと思います。
比べて、失踪事件の方は一般的な、ありそうな事件です。
これらをセットにすることで、それだけだと「そんな馬鹿な!」と
大混乱し、あるいは反発してしまうだろう読者の視点を
うまく動かしているように見えます。
主導権を読者に握らせない、という巧い感じ。これは罠だ…、きっと。

前半部、謎が謎を呼ぶ辺りは、
「何がどうなっているんだ、次はどうなるんだ!?」
というドキドキ、手に汗握る、でもどこか怖いような期待感にあふれています。

後半部はどんどんまとめていくのですが、ときどきふっと
予想を裏切るようなことをしてくれて、また一瞬ばらけさせたりします。

ただ、最後の落ちは最初のプロローグからあからさますぎるかな、
と感じました。最後のどんでん返し、あれは予測できてしまった感じ。
むしろプロローグがなくてもよかったんじゃないかなあとも思いました。
まあ、あった方が最終的なすわりはいいんですけど。
ラストに向かうところから暗中模索感が消えてしまったんですね。

最後のどんでん返しを控えているせいか、そこに至る解決編前半は
意外とも思えるほどあっさりしているんですよね、流れが。
ちょっと拍子抜けしてしまうくらい。それが実は前振りで、
更にどんでん返し、更にどんでん返し、と続く流れ自体は
大変秀逸だと思います。
プロローグがなかったら、菜の花のような単純な人間は
全く想像がつかないまま翻弄されただろうなあ。
実際にはどこに落ち着くか見えていましたから、
それほど右往左往しませんでしたけど。その辺り、やや残念。


みゆきちゃんの持ち味である人情話もホットです。
追跡行の片方を担う「悦子」の周りの細かい環境、
上司の一色、父の義夫、娘のゆかりなど、
色とりどりで魅力的なキャラも多いですし。
耕吉さんも、前時代のいい番頭さん、って感じが
いかにもみゆきちゃんらしかったです。

また、途中でふっとゲスト出演してしまった、
別の作品の準主人公などは、ファンなら思わずにやり、ですね。
ファンサービスをしてくれるからみゆきちゃん、大好きですよ(笑)。


全体としてはかなりの秀作だと思います。
自信を持って、ひとさまにお勧めできる1冊かと。




菜の花の一押しキャラ…榊 達彦 ゆかりや耕吉さんも捨てがたいなあ。 「五年ぐらい目を覚まさないかもしれない」(榊 達彦) 悦子が、一樹を蹴り倒したのを見て。これが彼を一押しキャラにした決定打でした。 宮部みゆき著作リスト よみもののきろくTOPへ
075. 「夢幻戦記I、J 総司星雲編(下)、総司乱菊抄(上)」     栗本 薫
2004.11.26 続き物 252P
206P
762円
686円
2001年8月
2002年3月発行
ハルキノベルス ★★★★★

2冊いっぺんに。単に書く暇がなかったので。

評価的には続き物なので変わりませぬ。
内容としては、大阪での芹沢鴨どんがお相撲相手に大暴れ、
という新撰組ファンでなくてもちょっと知ってる人なら
見たことのあるようなエピソードが入っておりました。

それにしてもどんどん顔の形が崩れてきた芹沢さん。
もはや人間に見えなくなりつつあるらしい。
その仲間の皆様も。なんという酷い扱い(苦笑)。

SFとしては新たに登場、魔界の貴族さま。
何でこいつらはみんな綺麗系で強いのか?
大体、総司がそんなに綺麗系のおぼっちゃん、
という設定からして、総司ファンの菜の花としては
結構、許せないんですけど(怒)。
総君はそんなに綺麗系のひょろひょろ男じゃなーい!
まず、新撰組の3大いい男にも入ってないくらいのお人ですぞ。
(ファンの割に褒めてるのか、けなしているのか謎ですな。)
でもそう考えると、この総司美人さん設定(?)は
総君を馬鹿にしているように思えてきたっす。
外見じゃないんですよ、このお人が歴史に名を残したり、
多くの人の同情を得たりするのはですね。
そんな外見上の薄っぺらな魅力じゃないんですよ。
その辺、もう少ししっかり書いてほしいよねーと思う今日この頃。

ところで表紙のイラストがかっこいいです。
総と一ですかね。なんか、読みづらいな。そう、とはじめ、ね。
個人的なことですが最近、総司のことを総、と呼ぶ癖がついてしまったのです。
でも「そう」って音で考えると「爽」と頭の中に浮かんでくるんです。
浅葱色のだんだら模様の新撰組の制服(?)はそれなりに爽やかな色を
しておりますね。そんな「爽」色の羽織は総にはよく似合うかと。
って、訳の分からん駄文だ。。。失礼しました。



菜の花の一押しキャラ…沖田 総司 「だから、君のいっていることは              よくわからないといっているだろう。失礼する」(沖田 総司) 言われた人間が「そんな口もきけるのか」と言っているが、確かに。 毅然とした態度もとれるのね、一応。 よみもののきろくTOPへ
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